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『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』-半世紀の想い出その5

 かの「ヤマト」を継ぐ、とも謡われた『銀河英雄伝説』と出会ったのは、大学時代でした。
 大学時代の友人の一人は、下宿の壁一面にマンガやVHSテープ(なにしろ1980年代終わり頃の話ですから)が並ぶ、今で言う典型的「オタク」でした。そんな彼の下宿には友人たちが集まり、彼に敬意を表しつつ、コレクションを観たり読んだりさせてもらっていました。
 そんなある日、彼の下宿にたむろしていた皆に彼が披露してくれたのが『銀河英雄伝説』石黒版アニメでした。
 予備知識なく見始めたのですが、すぐに「何だこのすごいアニメは!!」と引き込まれてしまいました。1話見終えたらまたその次、それが終わったらまたその次、とあるだけ次から次へと……彼のストックが尽きた時には夜がしらじらと明け始めていました。普段は徹夜なんてできないのに、この時は苦にもなりませんでした(徹夜はその後大学院の研究室でちょくちょくするようになりましたが ^^;)
 内容には触れませんが、一点、ちょうどかの天安門事件(1989年)が起こった頃であり、作中の「スタジアムの虐殺」は「まるで(当時報道されていた)天安門事件そのものじゃないか!」と驚いたものです。
 アニメで使われたマーラーの交響曲第一番、ドヴォルザークの第九番『新世界より』、チャイコフスキーの『悲壮』、ショスタコーヴィチの第5番『革命』……数多くのクラシックがアニメ映像と切り離せない形で記憶に刻まれています。

 そして時は巡り、『ヤマト』も『銀英伝』もリメイク版が登場しましたが……これまでにもこのブログ内でも触れたように、やっぱりなんか違うんですよね。リメイク版『ヤマト』では交響組曲も新たに発売されましたが……

『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』ジャケット

 左は本連載の初めにもお示ししている、1977年版の交響組曲ジャケット。対する右は、リメイク版にあわせて2021年に発売されたジャケット。
 1977年版は松本零士先生による描き下ろしで、あまりにも有名な松本美女の妖艶な美しさ、芸術的な飾り文字によるタイトルロゴ、このジャケットだけで一枚の芸術的絵画と言っても過言ではありません。
 右は……どうですかね。
 なんかアニメ調のお目々ぱっちりな、子供のような……これはスターシャ? いやテレサ??

……これは違う!!

大変申し訳ないけど、このジャケットでもリメイク版は……あくまで個人の感想ですが、オリジナルに触れてしまった世代としては、到底及ばないな、と思ってしまうのですよ。
 リメイク版しか見ていない、あるいは先に見た方には申し訳ないですが、半世紀前にそれほど巨大なインパクトを世の中に与えたものだった、ということでご理解ください。

 ちなみにまだアルファベットに慣れていなかった小学生時代、この芸術的ロゴに魅せられ、真似て書いてみたものでした。それから十数年後、社会人となって海外の医療機器メーカーと英語でFAX(当時はまだメールなんて一般的じゃなかったのよ!!)をやり取りした際、自筆サインはこのタイトルロゴを参考にしたスタイルになっていました。

 それから『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(1978)。
 これも内容は触れませんが、実は父に連れて行ってもらったほぼ唯一の映画でした。普段テレビチャンネルを独占してプロ野球ばかり観ていた(だから私は今もプロ野球嫌いですが)父が、どういう風の吹きまわしか、連れて行ってくれたのです。

「さらば宇宙戦艦ヤマト」(1978年)パンフ

 そして私は気の弱い子供だったので、自分からあれが欲しいこれが欲しいとは言わなかったのですが、どういうわけか父は映画の後、売店で『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 音楽集』を買ってくれました。話した記憶はありませんが、ヤマトの交響組曲を聴き込んでいたのを知っていたのかも知れません。

 今この歳になっても、ヤマトの音楽やクラシックに触れると、小学校時代の友人、亡き父との数少ない思い出、大学時代の友人たち、社会人になってからも『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』を紹介してその後振られた女性のこととか(爆)、ジャケットを参考にした自筆サインでやり取りした仕事、高校時代から今現在でも付き合いの続く友人とのヤマトや銀英伝の会話……直接関係ないことまで芋づる式に、まるで走馬灯のように……

 っておい、俺死ぬのか?

 いやいや死ぬ気はもちろんありませんが、この半世紀、いかに大きな影響を受けてきたか、考え方や好みのベースの一つになっているか、あらためて思い知らされます。ヤマトワールドとその音楽に出会えたことは、大きな幸運であったと感じます。
 途中間があいてしまいましたが、ヤマトワールドとその音楽に係った方々に感謝しつつ、集中掲載を終了したいと思います。


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『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』-半世紀の想い出その4


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ジャンル : アニメ・コミック

『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』-半世紀の想い出その4

 前回、ヤマトから『銀河英雄伝説』(略称:銀英伝)につながると書きましたが、銀英伝に出会ったのは大学時代でして、その前、中学から高校の頃に『合唱』にまつわる思い出がいくつかありましたので、そちらを先に。
 ああ、やっぱりまだ最終回には至らないか……(笑)

『第九』の歌詞解説

 『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』と同じ頃に出会い、初めて真面目に全曲を通して聴いたクラシック、ベートーヴェンの交響曲第9番『合唱』。
 あの合唱がある第4楽章は、クラシックのいちばんのお気に入りとして何度も何度も聴いていましたが、その歌詞は興味を持ちつつもなかなか把握できませんでした。
 前回書いた、中学の頃に思い切って買った第九のカセットテープ。その解説にドイツ語の歌詞と訳がついていたのですが、途中からは合唱として歌われている順番通りではなく、書かれている歌詞と歌われている合唱とがどう対応するのか、いまいち分からずじまいでした。

『第九』の歌詞解説

 高校時代、一年生の担任は音楽の先生(男性)でした。
 それまで音楽の基礎知識が皆無で楽譜の読み方もきちんと分かっていなかったのが、この先生のおかげである程度分かるようになりました(でも今はその内容をまた忘れてしまった……T▽T)

 ある時、その先生が顧問を務める音楽系のクラブが文化祭で第九を歌う、希望すれば部員でなくとも参加できる、ということを知りました。
 ここで参加したら「よくある話」なのでしょうが、結局参加はしませんでした。
 いやね、それより何年か前の中学時代、クラスみんなで歌を歌う時「あんたは(音痴だから)声は出さずに口だけ動かしてなさい」とその時の音楽教師から言われたのが、音楽関係で最大のトラウマになってるんですよ。名前は忘れたけどまだ若い女の先生やったなぁ。
 第九を歌うと知った時、歌うのは無理だけど第九は大好き、ということを担任の先生にお話ししました。参加を勧められたものの結局参加する勇気は出ませんでしたが、本来は参加者に配られる、第4楽章の楽譜と歌詞をつづった、お手製の冊子を頂きました。

 わら半紙に印刷された楽譜と歌詞。楽譜を見ればメロディぐらいは追える、つまり聴いている曲のどこかは分かります。その楽譜と並行して書かれた歌詞。これを見て初めて、曲と歌詞が完全に一致しました。二重フーガの部分は、曲と歌詞が単純な一対一対応でないことも理解しました。
 曲を見ながらこの冊子を何度も見返し、カタカナドイツ語(笑)ではありますが

「フロイデ、シェーネルギュッテルフンケン……」

と合唱部分のほとんどをそらんじられるぐらいになりました(今は後半だいぶ忘れましたが ^^;)。
 第4楽章でオーケストラが演奏し、バリトンが高らかに歌い、続く合唱でも歌われる

 Freude, schöner Götterfunken …

 の部分のメロディ、おそらく第九と言えばだれもが思い浮かべるあの旋律。楽譜を見ると、アルトとかテノールといった声域によっては誰もが同じ旋律を歌っているのではなく、異なるメロディを歌っていることも分かりました。
 そう、『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』の『明日への希望 ~夢・ロマン・冒険心~』で、男声と女声が異なるメロディを歌っているのと同じです。このあたりに気が付いたのも、『合唱』と『明日への希望』は同じカテゴリーだと思った所以です。
 『明日への希望』に比べて『合唱』はあまりにも主旋律が有名すぎて、正直なところ主旋律以外はあまり耳に残らないのですが……それでも、『明日への希望』を知っていた、この曲を聴き込んでいたからこそ、『合唱』を含む交響曲や合唱曲などのクラシックをも気に入り、熱中することができたのだと思います。
 高校以来の親友(このブログでもたまに触れる、映画を一緒に観に行ったりした友人です)も「ヤマト」ファンであると同時にクラシックも聴いていたため、生のクラシックコンサートにも何度か一緒に行きました。
 そうして、いよいよ「ヤマト」のようなSFとクラシック、両方の要素を兼ね備えた『銀河英雄伝説』へつながっていきます。


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『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』-半世紀の想い出その3


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『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』-半世紀の想い出その3

 『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』に出会う前だったか後だったか、いつ頃だったかは記憶が定かではないのですが、ある時テレビCMで流れていた音楽が気に入り、母親に
「これ何て曲?」
と訊きました。その答えは
「第九。ええ曲でしょ?」
「うん!」

『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』とベートーヴェン『合唱』

 「ダイク」というのがベートーヴェンの交響曲第9番『合唱』であることを認識したのはもう少し後だったと思います。
 何のCMだったのかもさっぱり覚えていませんが、たぶん年末だったのでしょう。
 ともあれあの有名な

 Freude, schöner Götterfunken …

 おそらくほとんどの人が知っているであろうあの合唱部分が大いに気に入り、いつか全曲を聞いてみたいと思っていました。

 子供にとっては大きな買い物だった『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』以降、当時500円程度だったシングルレコードはいくつか買っていましたが、それから数年後、音楽関係で二つ目の「大きな買い物」となったのが、ベートーヴェンの交響曲第9番『合唱』でした。
 なぜレコードではなくカセットテープにしたのかはよく覚えていませんが、お値段的にはヤマトと同じぐらいで、中学生としてもやはり「大きな買い物」には違いありませんでした。
 のちに割と詳しい友人から聞いたところでは、録音が良いからそれなりのお値段ということでした。安物のレコードプレーヤーやラジカセしかなかった我が家には宝の持ち腐れではありましたが(^^;)
 買って初めて聴いた時には、気に入っていた合唱が第4楽章であることも知らず、初めから聴いていたため、第2楽章で寝てしまったりもしましたが……(苦笑) 

 その頃、テレビでは『題名のない音楽会』のような音楽番組がいくつかあり、こういう番組も見るようになって、他のクラシックも知るようになります。そのうち、テレビではCMや番組の中でBGMで結構クラシックが使われていることにも気付きました。
 そうして知った曲、気に入った曲のテープをぽつりぽつりと買い集めていきました。

 ベートーヴェンの交響曲第5番『運命』。
 ドヴォルザークの交響曲第9番『新世界より』。
 チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番……。

 別にクラシックが高尚だとか敷居が高いとか、そんなことは露とも思わず(今だって思ってません)、廉価版のカセットの存在を知ってからは、さらにクラシックのテープを買うようになりました。
 まぁ小学生の頃からアイドルとかにはあまり興味はなく、これもテレビCMでサビが流れていた谷村新司『昴』を気に入ったりしていましたから、もともと他の子よりもだいぶシブめの好みではあったのかも知れませんが。

 そんなこんなで当時から今まで、もし好きな音楽のジャンルは? と訊かれたなら「クラシック」となるのですが……これまでの経緯を見ていただければご理解いただけるかと思いますが、「クラシック」も好きとはいえ、一番好きなのは「交響曲」というのが本音です。ただそれでは通じにくいので、便宜的に「クラシック」という答えになりますが……。
 専門家からは何一つ同意されないでしょうが、私から見れば、ベートーヴェンの『合唱』とヤマトの『明日への希望 ~夢・ロマン・冒険心~』は、与えうる感動の種類からみて同じカテゴリーの曲と考えることができる、と思っています。

 ちなみに『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』に付いていた解説には、一曲ごとに作曲・編曲の宮川秦氏とプロデューサーの西崎義展氏の対談が載っており、クラシックに触れた内容がたくさんあります。

「ぼく(西崎)はこの曲(『序曲』)をきいたとたん、思い出したのが『白鳥の湖』なんですよ。少年時代に初めてあの『白鳥の湖』の序曲をきいた時、限りなく広がる夢と切なさを感じた記憶があるけど、それを思い出しました」
「現代の子供たちはシンフォニーの良さを知りませんよね、メロディとかリズムばっかり追って……。こうした曲を通じて、シンフォニックサウンドのすばらしい質感、スケールの大きさを感じ取ってもらいたいな」

「これ(『決戦』)もチャイコフスキーを思い出させるね」
「そうなの。これもチャイコフスキーなの」
『1812年』という序曲で、ナポレオンが進撃するときはラ・マルセーユは勢いよく響くけど、雪に阻まれてとぼとぼと敗走するときには、ラ・マルセーユが次第に消えていくのね。あのイメージを思わせる」
「今の若い人たちはあまりクラシックを受け入れないけど、クラシックの中にもチャイコフスキーとかベートーヴェンとかロマン派の音楽の中には、ストーリー性のある楽しいものもあるわけで、そういう要素を現代のシンフォニーとして受け入れてほしいですね」

「クラシック音楽はなにも知性と教養で聞くものじゃなくて、肌で感じればそれでいいんだ。今の若い人たちにも大編成のシンフォニーの楽しさを味わってほしいな。(中略)楽器の本質から出る迫力はやはりシンフォニーですよ」

別にこの解説に乗せられたわけではないのですが、後から読むとまるで乗せられたみたいですな(^^;)
 それにしてもこの解説は45年ほど前の文章ですが、今読んでもまったくそのままあてはまる内容だと思います。

 そして『銀河英雄伝説』。
 なぜヤマトの音楽の話から『銀河英雄伝説』につながるかと言えば、石黒版と呼ばれるアニメではBGMにクラシック、しかも交響曲がふんだんに使われていたからです。
 次回、クラシックとSFにまつわる半世紀の思い出の振り返り、たぶん最終回(笑)。


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『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』-半世紀の想い出その2

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『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』-半世紀の想い出その2

 小学生の頃、生まれて初めて買ったLPレコード『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』

 親友の家で初めて聴いた時はとんでもなく感動したものですが、親戚のお兄ちゃんにレコードから録音してもらったカセットテープを聴いた時は、同等の感動は得られませんでした。
 もちろんどの曲も素晴らしい曲で、『序曲』の壮大な盛り上がりの部分や『誕生』でヤマトのテーマに至るまでの軽快なメロディなど、何度も繰り返し聴き続けていました。
 ただ、初めて聴いた時のあの衝撃的な感動がどの部分だったのかも忘れていたある時。

 それまでイヤホンといえば片耳だけの安物でしたが、何かの機会に初めて両耳のイヤホンを経験しました。
 そうかそうか、両耳だと左右から音が分かれて聞こえるのか……と気づき(この時初めてモノラルとステレオの違いを知った)、あの『明日への希望 ~夢・ロマン・冒険心~』後半を聴いた時……

「これだ!!」と飛び上がらんばかりの衝撃が甦ったのです。

      *      *      *

『明日への希望 ~夢・ロマン・冒険心~』の後半は、

 ララーラララー、ラララララー……♪

というコーラスが何度か繰り返されます。
 さてここからは音楽的知識もないのであまりうまく説明できませんが、ステレオイヤホンによって改めて気づいたのは……

 後半部分、「ララーラララー……」のコーラスはやや控えめな男声で始まります。
 このパートの最後、

 ララーララ ラララララー♪

は男声コーラスによる旋律が下がって終わります。
 モノラルでは男声コーラスに紛れて聞き取りにくいのですが、バックではポーン、ポーンとエレキギターでメロディが奏でられています。このメロディ、男声コーラスが下がって終わるのに対して、上がって終わるんですね。
 こういう書き方でお分かりいただけるかどうか……
男声が

 ララーララ ラララララー

に対して、バックのエレキギターは

 ララーララ ラララララー

と上がり調子で終わるのです。(エレキギターは当然「ラララ―」ではないですが比較ということで ^^;)
 この後は女声コーラスがメインとなり、最後は下がって終わりますが、そのバックではオーケストラの演奏が、先ほどのエレキギターと同じ旋律を奏で、上がって終わります。
 続くパートではバックに男声コーラスも加わりますが、メインの女声コーラスが下がって終わる時、今度はバックの男声コーラスが上がって終わっています。これもステレオイヤホンでないと気付きませんでした。

 単に同じメロディが繰り返されているのではなく、高低の異なる旋律をコーラスや楽器がそれぞれ奏で、それらが組み合わされることによって生み出される美しさ。そしてパートごとにその組み合わせが変わりながらも、繰り返しながら盛り上がっていく壮大さ。

 親友の家で初めて聴いた時は、たまたまバックの音が聞こえやすい方のスピーカーの前にいたのだと思います。
 親戚のお兄ちゃんに録音してもらったカセットテープは確かにステレオだったのですが、当時自宅で持っていたラジカセはスピーカーが一つしかありませんでした。モノラルだとメインの主旋律の方が大きく、バックの音はあまり聴き取れません(当時だけでなく今でも、PCの外部スピーカーで聴くと同じことで、ステレオイヤホンでないと聴き取れませんね)。だからステレオイヤホンを手にするまで、バックの旋律まで意識した組み合わせの美しさに気付かなかったのです。

 このような技法というか表現というか、何か呼び方があるのか、あるなら何と呼ぶのかは分かりません。ただ子供心に、音楽といえば主旋律だけを追っていたのが、複数の旋律や演奏の重なりによって生み出される美しさ、壮大さに圧倒されたのでした。
 繰り返されるに伴ってだんだん盛り上がっていく過程はラベルの『ボレロ』のような力強さがあり、さらに男声が「ラララララー⤴」と上がって終わるのが、文字通り「高らかに歌い上げる」といった感じでものすごく気に入り、この個所も何度も繰り返し聞いていました。
 男声コーラスと女声コーラスのハーモニーは、ベートーヴェン『合唱』の二重フーガにも似た荘厳ささえ感じます。

 そんなこんなで、もし「すべての音楽の中でいちばん好きな曲は何か?」と聞かれれば、まずこの『明日への希望 ~夢・ロマン・冒険心~』を挙げたい……のですが、なかなか知っている方がおられないので、詳しく説明できる場合に限られますが(^^;)

交響組曲 宇宙戦艦ヤマト(1977)

 そしてこの曲を含む『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』が、その後の音楽の好み全体を決定づけることになります。
 さらに続きます。

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『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』-半世紀の想い出 その1

 このタイトルから若い方はリメイク版の『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202』のことと思うかもしれませんが、そちらではなくてオリジナルの『宇宙戦艦ヤマト』から1977年に生まれたアルバムです。
Wikipediaによれば、「『宇宙戦艦ヤマト』のBGMをオーケストラ向けに再編曲・再編成したインストゥルメンタル・アルバム。1977年12月25日にLPレコード、カセットで、日本コロムビアより発売」

交響組曲 宇宙戦艦ヤマト(1977)

 このアルバムは小学校の5年か6年の頃、友人の家で聴いて初めて知りました。

 当時(1970年代後半、昭和でいうと50年前後)は同級生どうしで遊ぶ時、結構お互いの家を行き来していました。
 同級生の家は豪勢な一軒家もあれば一軒家なんだけど明らかにボロ家(失礼!)だったり、公団住宅だったり、安アパートだったりといろいろでした。思い起こせば、明らかに現代と同等以上の格差が存在していました。しかしこれだけは強調しておきたいのですが、子供たちはそんなことは一切気にせず、自分の家を自慢したり人の家を蔑むことなどなく、分け隔てなく交流していました。
 細かい経緯は忘れましたが、なぜだか同級生数名でY君の自宅(たしか公団住宅)に集まり、子供たちだけで袋入りのインスタントラーメンを作って食べたことがあります。私はこの時が袋入りインスタントラーメン初体験で、美味しいと感動したものです。イマドキは子供たちだけで危ないだのなんだの言われそうですが、こういう経験というのは大事なんじゃないかと思っています。
 (突然ですが、はっきり言ってドラえもんワールドの方が(少なくともメインキャラ間では)はるかに格差が無いというか上流家庭ばっかりで、そのくせ差別や暴力的いじめが結構多い。陰険さは少ないのがせめてもの救いか…?)

 そんな友人の一人、H君の家は広い二階建ての一軒家で、たぶんお金持ちだったのでしょう。しかしH君はそんなことはまったく意識する様子もなく、貧乏人の私らとつるんで遊んでいました。
 同級生数名で彼の家に遊びに行った時、たぶん高級だったのでしょう、大きなオーディオセットがあり、それで初めてこのアルバムを聴かせてくれたのです。

 広い部屋で皆は音楽を聴き流しながらマンガを読んだりだべったりしていましたが、たまたま私はスピーカーのそばにおり、このアルバムの『明日への希望 ~夢・ロマン・冒険心~』が耳に入りました。
 前半は有名なあのスキャット。
 そして後半、主旋律のメロディと一緒に、それとは違うメロディが並行して奏でられていることに気付きました。思わずスピーカーに耳をつけんばかりに顔を近づけ、そのメロディを聞き取ろうとしました。
 皆はそんなことは気づきませんから何をしてるんだろう、と思ったことでしょう。ただこの時、それまで音楽といえば主旋律ばかりを追っていたのが、異なる旋律のメロディの集合、その美しさに気付いたのです。

 翌年正月。
 H君の家で聴いた『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』の感動が忘れられず、思い切ってお年玉で買ってしまいました。レコードを買うというのはこの時が生まれて初めてで、小学生としては一大決心でしたねえ(^^;)
 当時家の近くに住んでいた親戚のお兄ちゃんも割とオーディオに凝っていたようで、LPレコードは傷がつくからカセットテープに落としてテープを聴き、レコードの方は大切にとっておくと良い、と言って、そのアルバムをカセットテープに落としてくれました。
 ただ、自宅にあったラジカセでは、H君の家で感じたほどの感動は得られませんでした。
 当時の感動がよみがえったのは数年後、モノラルとステレオの違いに気付いてからでした。

 若い方にはLPレコードとかカセットテープとか通じないだろうなあ……ゴメンm(_ _;)m
 次回に続きます。


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台東区・寛永寺清水観音堂

2023年4月9日。
上野公園の寛永寺清水観音堂にお参りしてきました。

寛永寺清水観音堂
1631年(寛永8年)、かの天海大僧正が上野の台地に東叡山寛永寺を建立。比叡山延暦寺が京都御所の鬼門(東北)に位置していることにならい、江戸城の東北にあたるこの地を、東の比叡山という意味で東叡山としたそうです。

寛永寺清水観音堂のつつじ
桜は散っていましたが、つつじがちょうど美しく咲き誇っていました。

東叡山全景
寛永寺全景。
上野公園全体に意外といろいろあり……

寛永寺各所の御朱印
それぞれで御朱印も頂けるそうです。

寛永寺清水観音堂の「清水の舞台」
さてこの清水観音堂には、かの清水の舞台を模したという舞台があり……

寛永寺清水観音堂の「月の松」
ここから丸い輪になった松の木を見ることができます。
歌川広重の浮世絵にも「月の松」と呼ばれる円を描く松の枝が描かれており、明治初期の台風の被害で一度失われましたが、2012年(平成24年)に復元されたそうです。

下方の不忍池を望むことができますが、天海大僧正はその不忍池を琵琶湖に見立て、琵琶湖の竹生島から弁才天を勧請、不忍池に浮かぶ島に辯天堂を建立しています。

不忍池辯天堂
しかしこの日は辯天堂に至る橋も大混雑なのが見てとれまして、辯天堂へのお参りはあきらめました。

不忍池辯天堂
緑色の三角屋根が辯天堂なのですが。
不忍池を琵琶湖に見立てた天海大僧正も、ビル群にはびっくりするでしょうなぁ(@o@)

寛永寺清水観音堂のパンダおみくじ
さて、以前も書きましたように、近年は動物モチーフのおみくじもよく頂いています。清水観音堂の授与所には、なんとパンダおみくじが。上野公園ならではですね。

寛永寺清水観音堂のパンダおみくじ
江島神社の例もありましたし、ちゃんと裏を見て紐が出ていることを確認しましたよ(^^;)
ちなみに「吉」でした。

寛永寺清水観音堂の御朱印
こちら清水観音堂の御朱印。書き置きのみです。
頂いた御朱印をざっと確認し、カバンに入れます。
この時は気付かなかったのですが……帰宅後、カバンから取り出してしげしげとながめると……

お気づきでしょうか?

もう一度……

御朱印の日付が……

……令和四年!?

これがまだ頂いた直後なら申し出たんですけどね……。
一般に書き間違いもあるから頂いたら確かめよう、とは言われてて、確かにぱっと見たんだけど、気付かなかった……。
まぁ人様のやることだしこういうこともありますよね。ある意味これはこれでレアかな、と思ったのですが……後々、これは令和五年に頂いたものだ、と証明する方法がないなあ……。


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東京都新宿区・善國寺

 2022年8月。
 有名な神楽坂(といっても実際に行ってみるまでどのあたりかも知らなかった ^^;)近くに所用があり、余った時間で途中見かけたお寺にお参りさせて頂きました。

神楽坂善國寺

こちら善國寺(ぜんこくじ)は日蓮宗のお寺で、安土桃山時代の1595年(文禄4年)に創建。ご本尊は毘沙門天で、江戸三大毘沙門天のひとつに数えられるのだとか。

善國寺の“狛虎”


善國寺の“狛虎”
 狛犬ならぬ「狛虎」!

善國寺の虎の絵馬
 絵馬にも虎が描かれており、虎に縁が深いようです。
 というのも、毘沙門天は「寅の年、寅の日、寅の刻」に現れたといわれ、そのため虎が毘沙門天の神使とされているそうです。
 おお、そうすると寅年だったらタイムリーなわけで、去年のうちにアップすべきところでした(^^;)

 人と一緒だったのであまりあちこち写真を撮る間もなく、お参りを済ませてすぐ社務所へ。
 下調べもなく行ったのですが、こちらでも「切り絵御朱印」がありました。

善國寺御朱印案内
 毘沙門天様の切り絵御朱印は初穂料1500円か。うーむ。
 寅年だし、ということでその上の二つ折り御朱印を頂きました。
 言っちゃあなんねぇことかも知れませんが、御朱印の初穂料というのも、やっぱりその、バカにならないわけでして……。
 
善國寺通常御朱印案内
 通常御朱印は400円。初穂料は以前はほとんど300円、近年は500円が多いと感じますので、400円というのはちょっと珍しい気がします。

50円以下の硬貨は使用不可って……
 ふと見ると、なんと50円以下の硬貨は使用不可!!
 うーむ、小銭の入金が有料化されてからは神社仏閣ではお賽銭の扱いに苦慮しているという話も聞きますが……。法律上は同一硬貨20枚までなら受け取り拒否できない決まりだと思いますが、「商行為」ではないから良いのかな?? 宗教法人の扱いの問題も絡んで難しいところですね。

善國寺寺務所で見かけたサイン
 寺務所にあったサイン。どうやら「なりゆき街道旅」というテレビ番組で紹介されたようですね。私でも聞いたことあるお名前のサインが。
 また、何でもドラマに登場したことがあるようで、なんか「聖地」の一種になっているようですが、芸能ネタはまったくもって疎いのでスミマセン(^^;)

善國寺二つ折り切り絵御朱印
 頂いた御朱印。
 なかなかに凝った切り絵で、これは価値あるものですね。
 これを開くと……

善國寺二つ折り切り絵御朱印
 内側は通常御朱印の態ですね。
 看板には「御朱印帳に収まります」とありましたが、こういう凝った御朱印は御朱印帳に貼ってしまうのもなんか忍びないと感じるようになってきています。御朱印帳に貼るということ自身にこだわりがなくなってきてるんですね。
 コロナ禍で一時期御朱印の直書きがなくなり、最近ようやく直書きも復活しつつあるとはいえ、書き置きのみのところもやはり多い。さらにはカラフルな御朱印や切り絵のような凝った御朱印が増えている今となっては、御朱印帳へ貼る以外の保存方法・閲覧方法を併用しても良いと感じています。
 このあたり、またどこかで記事にしようとは思っているのですが(でもいつになるやら……)。


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恐怖のパソコントラブル3連発

トラブルその①
 2023年1月。
 ご存知のようにWindows8.1のサポートが終了、それだけならあまり気にしないのですが、さすがに十年近く使ってきたWin8.1 PCもキーボードがだんだんバカになってきており、思い切って新PCを購入することにしました。
 近所の電気屋さんでいろいろ見繕い、一番人気の超軽量タイプとかなり迷ったのですが……二番人気で型落ちにはなるが、性能的に遜色ない機種なら大幅に値引きしてくれる、という店員さんの言葉で決定(^^;)
 次の休みの日に新PCを設定し、さていよいよ旧PCからのデータ移行。これまでバックアップに使っていた外付けHDにデータを移し、まず手始めにいくつかのフォルダを指定して、設定したばかりの新PCへ移動……

 程なくして、突如エラーが次から次へと!!

 何が起こった!?
 移動させているのは何の変哲もない文書や画像のファイルで、移行先の新PCはもちろん空き容量充分、通信などではなくきちんとUSBで接続して……ごく平凡な移動で、エラーになる要因なんてないのに!!

 慌てて処理を中止、何が起こったのか調べてみると……

 判明したのは、どうやら新PCの内臓HDに移動させているつもりが、勝手に、OneDriveというものに移動させていた(させようとしていた?)らしい。しかもそのOneDrive容量が5GBしかなく、移動させようとした総量がこれを超えていたからエラーになった、らしい……?

 誰がそんな余計なことをしろと言った……!!

 この時は怒りで真っ赤になったものの、まもなく今度は青ざめることになる。
 とりあえずおせっかい極まりないOneDriveのリンクを解除し、移動予定だったデータを確認……

 ない!! 移動元の外付けHDにも、移動先の新PCにも、もう一度リンクさせてみたOneDrive内にも……

 その後、外付けHDを旧PCに接続したとき一時的に失われたデータが見えたので慌てて別フォルダ名で旧PC内にコピー、ところが別の日に見ると外付けHD内のデータがまた見あたらないという、まったく意味不明な謎の状況……。
 にっくきOneDriveだけが悪いのかどうか分かりませんが、あまりに恐ろしくて、それ以降データ移行作業は進んでいません……。


PCトラブル


トラブルその②
 2023年2月。
 会社のPCで仕事中、パワーポイントファイルを開こうとするとエラーになりました。何度か試してもうまくいかず、再起動も考えたのですが、ちょうどまさに終業時間だったため、この日はあきらめてPCをシャットダウン。
 翌朝PCを起動……Windowsが起動しない!? いろいろ試すうちに、とうとうBIOS設定画面にまで迷い込む羽目に。会社のIT部門に電話し、ほぼ1日かけていろいろ試すも解決せず。「メーカー修理しかないね」とあまりにも冷たい一言。
 とりあえず代替機を支給してもらい、メールやオンライン会議、会社共有フォルダへのアクセスは可能な状態にしてもらったので当座の業務への影響は少なかったのですが……
 約半月後。メーカーからの連絡は「データ復旧できませんでした」(@д@;)。

 ……発表資料などの完成品は共有フォルダに入れ、メールで添付ファイルとしてやり取りしたことのあるデータはサルベージできたのですが……この3年ほどのメモ書き、参考資料、部品や仕掛品はぜんぶ失われてしまいました。
 いやこれはさすがに堪えた……(T▽T)

トラブルその③
 これは私ではなく妻なのですが。
 2023年3月。普段から二人それぞれyahooメールを使っているのですが、妻がログインしようとすると、「不正な使用がなされた疑いがある」とか何とかでログインできない状態に。どっちかというとIT音痴な妻はまったく平凡な使い方しかしておらず、疑わしいことをするだけの才能もないのですが……
 ログイン方法を変更したり問い合わせたりしても、結局何が原因かは教えてくれず、必要なら新たなIDを取得せよ、との一点張り。しかもYahoo IDはうっとおしいことに携帯電話番号の登録が必要となっており、妻の携帯番号はログインできなくなったIDに登録されたまま。それを解除しようにも、ログインできなければそれもできない。つまり、携帯がもう1台ないと新規取得ができない。

 アホか。

 なんでもかんでも携帯に結び付けるのはやめてほしいもんです。
 というわけで妻はYahooメールを見限り、別のメールにしました。

 なんでこうもPC関係のトラブルが頻発するのかな……。相互に無関係なのは間違いないですが、いろいろとげんなりしてしまう今日この頃。

偉大なる半世紀の衆望

 今月に入ってからあまりブログに手を付けられていませんが、いろいろあって深く静かに沈没中……

      *      *      *

 沈没といえば。
 2023年2月13日、休憩時間にふと携帯からツイッター画面を見ると、「#日本沈没」がトレンドに上がっていました。
 さては誰かが日本の状況を「日本沈没」に例えたか!? と思いましたが、実はこの日の13時より、1973年版の映画『日本沈没』がBSで放送されていたそうです。といってもこの日は仕事だし、そもそもうちはBSなんて観られないのですが、それでも「日本沈没」が注目されるのは小松左京ファンとして非常に嬉しいものです。

小松左京ライブラリ

 そしてなぜこれが取り上げられたか……一つには、小説『日本沈没』が出版され、映画が公開されたのが1973年。上のツイッター画面にありますように、「日本沈没」は今年50周年を迎える、というわけです。
 ちなみに今年は1923年(大正12年)の関東大震災からも、ちょうど100年の年に当たります。

 半世紀!
 この半世紀の間に『日本沈没』は映画やドラマや漫画で何度も描かれ、様々な作品のモチーフに取り入れられ、さらには現実においても、地学的な意味ではない経済的・社会的な意味において「日本沈没」が唱えられています。
 実に半世紀もの間、これほどまで何度も取り上げられ、注目されるコンテンツはそれほど多くないのではないでしょうか。


 そして2月13日はもう一つ、松本零士先生が逝去されました。
 手塚治虫先生小松左京先生と同じぐらい、一つの時代の終わりを感じさせる、大きなニュースでした。
 松本ワールドの中でも特に話題となる、知名度の高い作品といえばおそらく『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』の2シリーズになるのではないでしょうか。もちろん他にも多数の作品やキャラがありますが、大雑把にみて『999』を中心にほとんどの松本ワールドが取り込まれた巨大世界が形作られる一方、『ヤマト』は一部重なりながらも独立した、一本の太い世界を構成しているように感じます。
 むろん現実には『ヤマト』について原作者問題などいろいろと複雑な問題があったことは確かですが、ほとんどの人にとって「松本零士」と『ヤマト』は切り離せないものであり、『ヤマト』も松本ワールドの一部であることに異存はないと思われます。

宇宙戦艦ヤマトオープニング

宇宙戦艦ヤマトオープニング

 『宇宙戦艦ヤマト』が最初に放送されたのは1974年。こちらもほぼ半世紀が経過しています。途中いろいろとありながらも、やはり半世紀もの間何度も取り上げられ、注目されてきたコンテンツの一つと言えるでしょう。

      *      *      *

 昨今話題になっているもので、人気の出たものの中で、半世紀未来でも多くの人々が多少なりとも知っている……そんなコンテンツはどれほどあるでしょうか。
 もちろん当時に比べて現代は価値観や趣味嗜好の多様化、世の中の複雑化、文字通り掃いて捨てるほどの情報過多の中にあり、誰もが目を向けるほどの共通の話題が生まれにくくなっていることもあるでしょう。
 どちらが良いかは一概に言えることではありませんが、多様化・複雑化から分断化に向かう懸念すらある現代から振り返ると、誰もが知っているほどの「ブーム」が世の中を席巻していた時代を、ある意味懐かしくも感じます。

 もちろん全員が同じ方向を向く必要はありません。むしろそんな画一化も決してよくない。
 かつて、男は誰でもタバコを吸って当たり前、野球ファンであることが当たり前、と言われた時代がありました。今でもオリンピックやサッカーには誰でも熱中して当たり前、誰でもディズニーランドが好きで当然、といった「全体主義的」嗜好は現存しており、その信奉者は他のものを排斥しようとします。
 小松左京や松本零士を知らない人がいても別に構わないのとまったく同様に、オリンピックに興味がなかったりディズニーランドが嫌いな人がいてももちろん良い。

「オリンピック? やってたの? 僕は見てないけどどうだったの? へえ、良かったね!」

「みんな見てるんだから見ようよ」などと言うような全体主義者は論外として、互いの興味の対象について、否定せずにこれぐらいの距離感で語り合うぐらいがちょうど良いのではないでしょうか。その中で、おそらく半世紀後も語り継がれるような出来事やコンテンツがこれからも生まれてくると期待したいものです。

 ただしオリンピックといえば、選手の頑張りとはまったく別の話として、オリンピック汚職は徹底的に追及することは切に、切に希望してますが(-_-;)

東京都台東区・浅草寺

 浅草寺。東京を代表するお寺の一つですね。「あさくさでら」ではなくて「せんそうじ」です。正式には金龍山浅草寺と号し、聖観世音菩薩を本尊とすることから浅草観音(あさくさかんのん)とも呼ばれています。
 こちらの雷門も特に有名ですね。

浅草寺の雷門
 1865年(慶応元年)に一度焼失し、その後は仮設の門が時折建てられていたそうですが、1960年(昭和35年)に再建された常設の門は、かの松下幸之助が病気平癒の報恩として寄進したものだそうです。

 2023年1月8日、コロナ禍の行動制限もなく、ものすごい混雑でした(T▽T)
 その先に続く「仲見世通り」と呼ばれる出店通りも結構なぎゅうぎゅう詰め。

浅草寺の宝蔵門
 こちらは別の日にとったものですが、「宝蔵門」と呼ばれる門。こちらは大谷米次郎(実業家。国技館建設、ホテルニューオータニ創始など)の寄進によるそうです。

浅草寺本堂
そして本殿。

浅草神社手水舎
 実は隣に「浅草神社」があるのですが、それはまた別の機会に。
 花手水が奇麗でした。

 さて。
 一緒に行った人がおみくじを引いてみますと……しっかり!!

浅草寺のおみくじ
 難しい漢文の内容だなあ……と思いましたが、裏返すと現代文の解説があるんですね。

おみくじの内容は……

「身分の下の者や使用人による災いが起こる」って……そんな人いないんですけど。

「一心に利益を得んとしても叶いません。」
 いやそう断言されましても……

 願望:叶いにくいでしょう。
 病気:安心できないでしょう。
 失物:出にくいでしょう。
 待ち人:現れないでしょう。
 新築・引越:さけましょう。
 結婚・旅行・付き合い:万事悪いでしょう。


 けちょんけちょんやなあ……(T▽T)

 私の好きな妖怪漫画の名作『うしおととら』で、潮が正月におみくじを引くと
「大凶 すべてわろし」
とあってがっくりくる(実はとらのいたずら)というシーンがあるのですが、それに匹敵するな……。
 で、どうすれば……

「少なくとも、使用人や部下を大切にして災難を防ぎましょう」

 いやだから使用人も部下もいないんですけど!!

浅草寺のおみくじ結び所
 というわけで、しっかり結んで流してきました。
「凶のみお結びください。それ以外はお持ち帰りください」としっかり書いてありました。

      *      *      *

 実は、浅草寺はおみくじに凶が多いことで有名だそうです。
こちらの記事は凶の割合を浅草寺に直接おうかがいするという、大胆な記事になっています。これによると、
 
「一説には平安時代に元三大師良源様によって、おみくじの元となるものが作られ、さらに、中国で天竺霊籤(てんじくれいせん)という、いわゆるおみくじの始まりと言えるものが流行りまして、室町時代までには日本に伝わったのです。
 江戸時代にはそれが合わさった観音百籤(かんのんひゃくせん)というものが広まり、以来浅草寺でもこれを用いております。
 そのときから、浅草寺のおみくじは凶の割合は変えていません。分配は凶30%、大吉17%、吉35%、半吉5%、小吉4%、末小吉3%、末吉6%です。」

 30%……なかなか多いな!!
 理屈をこねれば、どんなおうかがいでもすべからく凶の確率は30%ということですかね……? まあ確率論はどうであれ、おうかがいによって「神はサイコロを振る」のであれば、その手前の人の手で準備する段階では、すべて同じ割合とする方が良いような気もしますが(すべて同じ割合にしておいて、どれを出すかは神様次第、ということで)。
 一方でだいぶ昔、何かのテレビ番組で、ある神社のおみくじの割合を実際に調べるという企画を見たことがあります。その結果、そこでは凶の割合はゼロ!
 で、その理由をうかがってみると、「気分よくお帰りいただきたいので、凶はなしとしております」。
 お気持ちは痛いほどよく分かるのですが、それもなあ……。
 どちらにせよ、この割合は「企業秘密」的な感じで明かせないとしておくのが良いような気もします。

水上バス乗り場からスカイツリー方面
 浅草からはすぐ、スカイツリーがよく見えます。

GTS観光アートライン作品
 川辺にこんな猫もいました。「GTS観光アートライン」という企画の作品だそうです。東京はほんとに猫にまつわるものが多い気がしますね(^^)


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