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祝・《はやぶさ2》着陸成功

へろんです。
2019年2月22日。探査機《はやぶさ2》が午前7時29分、地球より約3億4千万キロメートル離れた小惑星リュウグウに着陸したと発表されました。

《はやぶさ2》は2014年12月に鹿児島県の種子島宇宙センターより打ち上げられ、2018年6月にはリュウグウ周辺に到着。直径約900メートルのリュウグウ表面は予想以上に岩石が多く、着陸場所の選定も非常に困難でしたが、直径わずか6メートルの場所を狙って見事に着陸を果たしました。

地球から3億キロも離れた小惑星に送り込み、着陸させるなどどれほど困難なことか想像もつきませんが、こちらの記事によると「日本からブラジルにある6センチメートルの的を狙うくらいの精度が必要」なのだとか。いやそれ、普通に考えると「絶対ムリ!」と言ってしまいそうです。
小惑星への着陸は2005年の初代《はやぶさ》から世界でも2例目、世界的な偉業です。

《はやぶさ》デスクトップフィギュア
昔、イベントで購入した1/72スケールの《はやぶさ》デスクトップフィギュア。

初代《はやぶさ》は2003年5月9日に鹿児島宇宙空間観測所より打ち上げられ、途中通信途絶などのトラブルに見舞われながらも、小惑星イトカワのサンプル採取に成功。2010年6月13日、自らはオーストラリア上空で燃え尽きながらも、採取したサンプルを無事持ち帰ったその旅路は、大きな感動を呼びました。

《はやぶさ》帰還カプセル特別展示 in KOBE
2011年1月27日~31日、神戸市立青少年科学館で開催された「おかえり『はやぶさ』帰還カプセル特別展示 in KOBE」のチラシ。会場は撮影禁止だったため、「見た」という記憶はあるものの、残念ながらあやふやになりつつありますが……(^^;)

《はやぶさ》帰還バージョンプラネタリウム
また大阪市立科学館では「はやぶさ地球帰還1周年記念」として、2011年5月15日~29日にプラネタリウム「HAYABUSA BACK TO THE EARTH 帰還バージョン」が上映されました。これは泣けましたね。

ただこれと前後して《はやぶさ》にまつわる映画が立て続けに複数公開されましたが、映画の方はどうだろうな、という気がして観に行きませんでした。

国立科学博物館の《はやぶさ》実物大模型
東京・上野の国立科学博物館に展示されている《はやぶさ》実物大模型。2015年7月5日撮影。実はこの模型は映画『はやぶさ はるかなる帰還』の撮影用に製作されたものだそうです。

国立科学博物館で展示されている小惑星イトカワ微粒子
国立科学博物館では何と、《はやぶさ》が持ち帰った小惑星イトカワの微粒子が展示されていました。

国立科学博物館で展示されている小惑星イトカワ微粒子
といってもごく微小なもので、このようにモニターに映し出されるわけですが……うまく撮影できませんでしたね(T_T)

ラスカ平塚の「宇宙展」で展示された《はやぶさ》ジオラマ
人気の《はやぶさ》は各地のいろんなイベントにも展示されました。これは2015年8月10日、神奈川県平塚市のラスカ平塚で催された「宇宙展」に展示されていた、《はやぶさ》着陸のジオラマ。

《はやぶさ2》地球帰還までの総事業費は約289億円と見込まれているそうです。これが高いか安いか、いろんな意見があって一概には言えないと思います。私個人は、安くはないけど極めて有意義だと思っています。
ただ……2023年に民間人初の月旅行をぶち上げた某社長の払う費用って、これよりはるかに高額と推定されていますよね。単純比較はできないかも知れませんが、どっちが有意義かって言ったらやっぱり……。

月への飛行という同じ土俵で論じるなら、アポロ計画は10兆円以上の費用がかかったそうです。それこそ1960年代と現代とを単純比較しても無意味かもしれませんし、着陸と周回の違いもあれば、アポロは何度も打ち上げられ、しかもそのうち計6回、着陸に成功しているという大きな違いはありますが。
アポロ11号が人類史上初の月面着陸を果たしたのは1969年7月20日。それから50周年の今年、アポロ11号の船長を務めたニール・アームストロングにフォーカスした映画『ファースト・マン』が公開されました。

『ファースト・マン』チラシ
2月10日、いつも一緒に映画に行く旧友と観てきました……しかし勝手にかの『プロジェクトX』的なノリを予想していた私としては、ちょっと印象薄くなってしまいました。不覚ながら前半うとうとしてしまったし(爆)

ところであの時代は現場からの飛行士の通信を家族も受信して聞くことが出来たんですかね。アームストロングが船体が猛烈に回転するというアクシデントに見舞われた時、それを自宅で受信機?で聞いていた奥さんが、管制室に飛んできて責任者を問い詰めます。
「心配ない、我々は事態をコントロールしている」となだめようとする責任者に、奥さんが叫びます。
「あなたたちは手順や規定を守ってるだけでコントロールしているつもりになってる!」
……うちの部署に聞かせてやりたいわ。と思った、印象の強かったシーンの一つです。

クライマックスの月面着陸、着陸船のハッチが開いたその瞬間から、セリフはもちろん効果音もBGMも何もない、まったくの無音状態で描いたのは感動しました。それこそが月面、リアリティのある月世界でした。

さて。2019年に偉業を成し遂げた《はやぶさ2》は、2020年12月には地球に帰還予定だそうです。ただし、実は本体は地球には帰還せず(《はやぶさ》のように燃え尽きるわけでもなく)カプセルを分離した後、再び地球を離れていくのだとか。その後の次なる目標はまだ未定のようです。
《はやぶさ2》が地球近傍にまで帰ってきた時には、また盛り上がってほしいものですね。


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高知県・大日寺、御厨人窟と室戸岬の日の出

へろんです。
龍河洞を後にして間もなく、この辺りのお寺にもお参りしておきたい、とすぐ近くの大日寺にも立ち寄りました。

大日寺山門

香南市の大日寺は四国八十八ヶ所霊場の第二十八番札所
寺伝によれば、天平年間(729~749年)行基により開創、一時荒廃するも815年(弘仁6年)弘法大師により中興。明治時代に入ると神仏分離令によって廃寺となるものの、1884年(明治17年)に再興。

大日寺本堂
本堂は1997年(平成9年)の再建。
行基の作と伝わるご本尊、大日如来坐像が安置されており、四国では最大級なのだそうです。

大日寺手水舎


大日寺六角堂
六角堂。

大日寺大師堂
大師堂。
四国八十八ヶ所では本堂の他に弘法大師をお祀りする「大師堂」が必ずあって、お遍路では大師堂にも必ずお参りする、のだそうです。

大日寺鐘楼
鐘楼。

大日寺境内のベンチ
境内にあったベンチですが、四国の形にくり抜かれたデザインが素敵です。

大日寺納経所
御朱印(お納経)は少し離れたところにある納経所で頂くことができました。

納経所のお地蔵さま


大日寺御納経
頂いた御朱印。
……ん? んんん??
通常日付を書いて頂くところに日付はなく、その代わりなのか、点が一つ……。

これまでにも、「○○年○月○日」の代わりに「○○.○.○」のように略して書いて頂いた御朱印もありました。これはもしかして、もう一歩進んで略された書き方なのか……。

四国遍路の御朱印(この場合は「お納経」)には日付が入らない、ということは、帰宅後に調べて知りました。
お遍路は一回だけではなく二回、三回と巡る方も多いそうですが、その時お納経は新たな納経帳に頂くのではなく、一回目の上から少しずらして「重ね印」を押して頂くのだそうです。

御朱印帳(納経帳)は最後には自分の棺に納めてもらうものですが、たくさんお参りした証として持っていきたいけど棺のスペースがいっぱいにならないように、という意味あいではないか、という意見もあるようです。
そうか……御朱印を集め始めてから丸二年と少し、もし仮にこのペースで集め続けるとすると、確かに間もなく大変な量になるかも……と妙なところで現実に引き戻されてしまいました( ̄ヘ ̄;)

大日寺御影
四国遍路では御朱印を頂く際に「御影(おみえ、みかげ)」と呼ばれるご本尊の写しを頂けるということも初めて知りました。別途、カラーの御影を頂くこともできるそうです。
四国八十八ヶ所霊場会ホームページの「彩色御影」のページには「一体二百円にてお授けしております」とのこと。
ふーむ、この場合は「一体」と数えるようですね。

大日寺から室戸市まで移動し、この日のお宿は室戸岬の東側に位置する「ホテル明星」

室戸市のホテル明星(あけのほし)
「みょうじょう」?「めいせい」?と思ったのですが、「あけのほし」と読みます。太平洋を望む眺望の良い場所にあります。

宿をここと決めた時に、ならばぜひ見たいと思ったのが「だるま朝日」
朝日が昇ってくる際、下の縁が水平線に付くか付かないかの時、光の屈折の関係で水平線でくびれてだるまのように見える、という現象です。日没の場合は「だるま夕日」となります。
その原理はこちらのページがいちばん分かりやすいかと。
当然ながら、水平線から日の出が見られる、東の海に面した場所からしか見ることが出来ません。この「ホテル明星」はまさしくその場所にあるんですね。

徳島県大浜海岸のだるま朝日
2013年10月13日、徳島県美波町の大浜海岸で、こんな状態の朝日を見ました。「だるま朝日」の一種には違いないと思いますが、むしろオメガ(Ω)に近いかなあ……と思っていたら、海外では「だるま朝日」のことを「オメガサン(Omega Sun)」と呼ぶのだとか。

日の出・日の入り時刻の掲示
何しろ朝日を見ることのできる絶好の立地ですから、フロントにもちゃんと日の出時刻が。
今回、やっぱりより達磨に近い「だるま朝日」をぜひ見たい!と期待しながら起床したのですが……

室戸から見る日の出
午前6時40分。右上の三日月がいい感じ……ではありますが、水平線には雲が……!!

室戸から見る日の出
午前7時15分……もう日は昇っているはずですが、ダメだあ……!

室戸から見る日の出
午前7時30分。雲のおかげで幻想的な写真は撮れましたが……。

室戸から見る日の出
午前7時45分。ようやく太陽が雲の上に顔を出しました。
素晴らしい晴天ではありましたが、今回は「だるま朝日」に出会うことはできませんでした。宿泊していた方に聞いたところによると、今年は元旦のみ、ここから「だるま朝日」を見ることができたそうです (o_ _)ノ彡☆

ホテルをチェックアウトして、最初に向かったのはすぐ近くの御厨人窟(みくろど)

御厨人窟遠景
国道55号に面した駐車場に入ると、奥の崖に左右二つの洞窟が見えます。右側の洞窟が「神明窟」、左側が「御厨人窟」

神明窟
平安時代初期、青年時代の弘法大師が修行していたとされる「神明窟」。
修行中に悟りを開き、その際に口の中に明星が飛び込んでくるという神秘体験をしたと伝えられています。

御厨人窟
この中で生活をしていたとされる「御厨人窟」。
この場所から見た空と海だけの景色に感銘を受け、ここから「空海」の法名を得たとされるそうです。

御厨人窟の立入禁止の看板
以前はこの洞窟内に入ることができ、洞窟の中から空海も見た「空と海だけの景色」を見ることができたそうですが、近年は落石の危険があるということで、立入禁止になっています。

御厨人窟の納経所
写真下の「みくろど納経所」で御朱印(お納経)を頂きました。なんか上の岩が顔に見えます。

御厨人窟御納経
御朱印(お納経)にはやはり日付はありません。

御厨人窟御影
こちらの「御影」は弘法大師のお姿ですかね。

今回初めて四国で御朱印を頂きましたが、四国お遍路の「御納経」は色んな意味でだいぶ違うものだな、と感じました。
日付がない、というのもちょっと複雑な気持ちですね。御朱印はいわゆる記念スタンプ的なものではない、ということは重々承知しています。しかしその上でなお、この地を訪れたという、人生のある時点の証であるという側面も否定されるものではないと思います。
御朱印というものが世間に広く認知されるよりもはるか以前から行われてきたシステムに安易に口を挟めるものでもないでしょうが、御朱印が広く認知されるようになった時代だからこそ、何らかの形で日付も残せるようなシステムに改良されていっても良いのでは……とも思います。
あるいは、四国お遍路専用の納経帳というのもあって、そこにはあらかじめ色々なことが記載されているそうです。また「御影」も初めて知りましたが、これを保管する専用の「御影帳」というのもあるのだとか。
これから先、四国へ行くチャンスがどれほどあるか見当もつきませんが、そういうのをそろえるのも良いかも……それにカラーの「彩色御影」というのも良いよな……と誘惑にかられそうです(^^;)


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高知県香美市・龍河洞と博物館・珍鳥センター

へろんです。
香南市ののいち動物公園を後にして、香美市の龍河洞へと向かいます。
龍河洞は日本三大鍾乳洞の一つに数えられ、1934年には国の天然記念物および国の史跡に指定されています。鍾乳洞の総延長は約4キロメートル、そのうち約1キロメートルが通常ルートになっているそうです。
ちなみに日本三大鍾乳洞のあと二つは、秋芳洞(山口県;約8.9キロ)、龍泉洞(岩手県;総3.6キロ)だそうです。

龍河洞へ上る石段
駐車場に車を停め、土産物屋が並ぶ商店街を抜けると、龍河洞入り口へ上る石段が現れます。結構長い……。頑張って登りましたが、実はこの右にエスカレーターもあります。

龍河洞入り口付近の狭い道
洞内はよく整備されていますが、結構狭い道も。中には人一人がギリギリ通れるところもありました。

龍河洞の飛龍の滝
「飛龍の滝」と呼ばれる、洞内で二番目に大きな滝。ちなみに一番大きな滝は11メートルあり、昭和6年に発見者の先生がこの滝を登って奥洞を発見、その思い出から「記念の滝」と名付けられています。

龍河洞の天降石
高さ11メートルと洞内でいちばん大きな鍾乳石、天降石(てんこうせき)。少なくとも15万年の歳月を経ているのだとか(@o@)

龍河洞のクラゲ石
「クラゲ石」。SF映画のエイリアンを思い出しそうです。

龍河洞の「しんどい坂」
「しんどい坂」とストレートな名前が付けられた、長く急な階段が続く坂。ここまで結構な距離を歩いているので、結構きつかったです。

「しんどい坂」途中の休憩所
その途中にある休憩所には、なんと扇風機まで。使用後は電源を切ってください、と注意書きがありました。さすがにこの時はさほど大汗をかくほどではありませんでしたが、夏場は大活躍でしょうね。「夏場は設置されている」と書いてあるページもありましたが、この日、1月3日にもありました。
上には「SOS」と書かれた緊急事態を知らせるボタン。実際に使われたことがあるかどうかは分からないですが、そういう準備も必要なほどしんどいということですかね。

後から思ったのですが、洞内入り口に上る石段を避けてエスカレーターを使ってしまうようでは、この洞内でへばってしまうのではないかと……

龍河洞のマリア様とお釈迦様
マリア様とお釈迦様。

龍河洞イルミネーション
洞内では綺麗なイルミネーションが実施されていました。鍾乳洞内でこのようなイベントを催すとはすごいですね。

龍河洞イルミネーション


龍河洞イルミネーション


龍河洞にも龍馬像
ここにも坂本龍馬。さすが高知。

龍河洞にも龍馬像
うーん、後ろ姿、でしょうか……?

龍河洞を代表する「神の壺」
龍河洞いちばんの見所、穴居第三室にある「神の壺」。約2000年前にここに住んでいた弥生人が使っていた壺が、炭酸カルシウムに包まれて化石のような状態になっています。世界唯一の考古学的に貴重なものだとか。
この場所には職員さんがおられて説明してくださいました。

「え、では弥生人も今私らが通ってきたルートをここまで通ってたんですか!?」
「いえ、こちらの出口からはそんなに距離がありませんから」

……そうか、弥生人も「しんどい坂」みたいな大変なルートを毎日通っていたのだろうか、と一瞬思いましたが、もう一度同じ入り口へ戻るわけではないですから、さすがにそれはないということですね。

鍾乳石に包まれるか実験中の壺
その近くには、1937年(昭和12年)に設置され、「神の壺」のように鍾乳石に包まれるか実験中の壺がありました。こちらも鍾乳石にくっつき始めているそうで、82年も続けられているとはすごいですね。

弥生人が住んでいた広間
出口近くにある広くなった空間。ここが弥生人のメインの居住空間だったようです。

「しんどい坂」をはじめ全体としてだいぶ上に登った感じでしたが、実際に鍾乳洞の出口を出ると、だいぶ階段を下ることになりました。

龍河洞博物館
その下りの途中にあるのが、龍河洞博物館珍鳥センター。龍河洞本体は有料ですが、こちらはどちらも入場無料♪

龍河洞博物館一階
博物館一階には地球史や龍河洞の解説がありますが、真ん中で目立っていたのが……

龍河洞博物館の「ワンダーホール」
昔、駅や地下街で見かけた水の芸術のようなものかと思いましたが、説明によるとポリエチレングリコールがピアノ線を伝って滝のように流れ落ちる装置でした。「ワンダーホール」と名前がありましたが、たぶん「フォール」じゃないかと思うのですが……。

龍河洞博物館の時代を感じるジオラマ
地質学的な地球の歴史、ということでいくつかのジオラマが並んでいました。しかしこの恐竜、目とゴジラ型の姿勢が何とも時代を感じさせます。
切れてますが、右下には「さわるな」の札も……。

龍河洞博物館の時代を感じるジオラマ
マンモスと原始人類の戦いのジオラマですが、槍には「触らない」の札が……。過去にそんなに被害があったんでしょうか。

龍河洞博物館二階
二階には鍾乳洞内の生物や、洞内から出土した土器,石器等が。なかなか見応えがありました。

龍河洞珍鳥センター案内板
続いて、龍河洞珍鳥センターの案内板。

天然記念物「白色うこっけい」
白色烏骨鶏(うこっけい)。
「烏骨鶏」(カラスの骨のニワトリ)という名の通り皮膚や内臓、骨までも黒く、羽毛には黒と白があるそうです。1942年(昭和17年)、天然記念物指定。

天然記念物「東天紅」
東天紅鶏。
「長鳴鶏」と呼ばれ、中には20秒余り鳴く鶏もいるのだとか(普通は3~4秒)。1936年(昭和11年)、天然記念物指定。

特別天然記念物「尾長鶏」
そして高知の鶏といえば、この尾長鶏ではないかと思います。この写真はまだそんなに伸びていない個体だと思いますが。
1923年(大正12年)天然記念物指定、1952年(昭和27年)特別天然記念物に指定。

写真を見返したりこの文章を書こうと調べていて気が付いたのですが、「尾長鶏」と書いてあったり「長尾鶏」と書いてあったり、どっちなんだろう、と思ったのですが……。
写真を見返すと、珍鳥センターの看板の説明では「長尾鶏」と書いて「おながどり」と振り仮名をつけていたりします。ネットで調べても両者を併記してあったり、どっちもありのようですね。唯一カタカナ表記は「オナガドリ」のみのようで、「ナガオドリ」とは書かないようです。

さてこのオナガドリ、江戸時代に土佐藩主の山内侯が、参勤交代の大名行列に使う槍飾りに、長い鶏の尾を利用することから、農民に飼育を奨励したことが由来と伝えられるそうです。
通常の鶏は一年に一度羽が生え換わるのに対し、オナガドリは胴体の羽毛が毎年生え換わるにもかかわらず、尾毛だけが抜けることなく伸び続けるそうで、この突然変異に改良を加え、明治12、3年ごろにほぼ固定されたと考えられるのだとか。

尾長鶏を飼育する「止箱」
明治時代には尾の長さは3メートル程でしたが、大正時代にこの「止箱」(とめこ)と呼ばれる飼育箱が開発され、尾が損傷しないようにこの中で育てるようになって、さらに尾が長く成長するようになったのだとか。
ギネスブックでは1974年に10.6メートルが最長記録として記載されましたが、13メートルという記録もあるようです。

この「止箱」で育てる、というのは初めて知りましたが、このように狭い所に閉じ込めて飼うのはどうなんだろう、と考えてしまいます。実際、可哀想ではないか、動物虐待ではないか、という意見や、その一方で実際に飼育されている方の反対意見もあります。もしも鶏のストレスになるような、虐待と呼べるような状態であるとすれば、見事な尾が伸びるほど長生きできないわけで、それはそれでなるほど、と思います。
「止箱」であってもストレスにならないような環境、飼育法、触れ合いなどを実践できる人だけができることであり、誰でも真似のできることではないのではないか、そんな気がします。

近年は尾の長さがだんだん短くなっているそうで、1993年頃は7メートルぐらいだったものが、2013年には3メートル台、大半が1メートル台となっているのだとか。
DNA解析の結果から近親交配の増加が影響していると考えられ、これはこれで心配なことですね。
伝説ではオナガドリの起源は、地鶏とキジや山鳥を交配して作ったとも言われるそうですが、実際には種の壁を超えた交配は無理でしょうね。ただ近親交配の悪影響が出ているとすれば、伝説のような思い切った手段が必要かも知れませんね。

駐車場の謎の建物
龍河洞駐車場にあった謎の建築物。
まるでオペラハウスをくっつけたような不思議な形ですが、正面に回ると、何と公衆トイレでした(爆)

土佐銘菓「長尾鶏の玉子」
おまけ。
JR高知駅で購入した、土佐銘菓「長尾鶏の玉子」
卵パックのような包装容器も、ネタとして逸品です(≧∇≦)

土佐銘菓「長尾鶏の玉子」
中のお菓子も、卵の黄身を黄味餡で、白身をマシュマロと、いかにも卵らしく作られていました。


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科学博物館
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高知県香南市・のいち動物公園

へろんです。
高知市を発って最初に向かったのが、香南市の高知県立のいち動物公園
開園は1991年と比較的新しいようですね。2017年9月現在の飼育動物数、111種1,488点。
「のいち」が平仮名なので、昔調べていた時「いのち」と間違えてしまいましたが、この場所が「野市町」であることに由来する名前のようです。土佐くろしお鉄道にも「野市駅」があって、そこから徒歩で20分だそうです。

のいち動物公園入口

高知新聞のサイトによると、世界的な旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」による「旅好きが選ぶ! 日本の動物園・水族館ランキング2018」で、動物園部門の2位に選ばれたのだとか。
ちなみに1位は和歌山のアドベンチャーワールド、3位は静岡の富士サファリパーク。1位はやっぱりパンダ効果ですかね。前にも書きましたが、やはり日本のパンダの中心地は和歌山です!
それにしても、こののいち動物公園が2位とは、やはりすごいです。

お正月特典のカレンダー配布
入園してすぐ、お正月特典、動物園オリジナルカレンダーの配布がありました。

お正月特典の紅白餅配布
さらには何と、先着500名に紅白餅の配布も!

お正月特典で配布された紅白餅
頂いた紅白餅。旅行から帰って後、美味しくいただきました。

のいち動物公園のレッサーパンダ
レッサーパンダ Ailurus fulgens
2頭が元気に動き回っています。

のいち動物公園のレッサーパンダ
「何か用?」的な感じ?(^^;)

のいち動物公園のユーラシアカワウソ
ユーラシアカワウソ Lutra lutra の「ヘレス」(♂)。2010年スペイン生まれのクウェート育ち。寒い中元気に泳ぎまわっていました。

のいち動物公園のユーラシアカワウソ
S字型に身体をくねらせながらの背泳。

のいち動物公園の二ホンカワウソモニュメント
二ホンカワウソ Lutra nippon (ユーラシアカワウソの一亜種 Lutra lutra nippon との説も)のモニュメント。2015年、海洋堂かっぱ館の製作。
そういえば高知といえば二ホンカワウソですね。国の特別天然記念物に指定されているものの、1979年に高知県須崎市での目撃例を最後に確認されなくなり、2012年に環境省が絶滅宣言。2017年対馬、2018年栃木などでの目撃情報もありますが、確証はないようです。
二ホンカワウソを絶滅に追いやったのは乱獲と自然破壊。モニュメントそばのプレートには「わたしたちは二ホンカワウソたちにこれまで何ができ、何がでいなかったのでしょうか。そしてこれからどうすれば良いのでしょうか」という言葉が刻まれていました。

のいち動物公園のフラミンゴ
フラミンゴのエリア奥には鏡が設置されていました。フラミンゴは集団で生活しており、限られた空間と羽数でも、鏡に映る姿を見て多くの仲間の存在を感じ、安心して繁殖できるのだそうです。これから動物園でフラミンゴを見たら、鏡があるかどうかにも注目したいですね。

のいち動物公園のワオキツネザル
ワオキツネザル Lemur catta
広い島の中で数頭が遊んでいました。

のいち動物公園のシロテナガザル
シロテナガザル Hylobates lar
樹上に棲んでいるので、高いところに組まれた足場をダイナミックな腕渡りで移動していました。素早いのでなかなか撮ることができません……。

のいち動物公園のミーアキャット
ミーアキャット Suricata suricatta の日向ぼっこ。

のいち動物公園のハシビロコウ
ハシビロコウ Balaeniceps rex
「動かない鳥」として、テレビの動物番組などでもよく紹介されていますが……

のいち動物公園のよく動くハシビロコウ
見てると結構動きます
後から調べると、実はここのハシビロコウはよく動くという記事もありました。

のいち動物公園のアミメキリン
アミメキリン Giraffa camelopardalis reticulata
説明によると、「イブキ」が安佐動物公園(広島市)に婿入りしたり、「キュウタロウ」が富山市ファミリーパークに婿入りしたりと、各地と交流が盛んなようです。

のいち動物公園の白いカンガルー
白いカンガルー!?
ベネットアカクビワラビー Macropus rufogriseus の「リリー」(♀)で、遺伝子異常により白い、アルビノ個体です。

のいち動物公園で見られる大型魚


のいち動物公園で見られる大型魚
でっかい魚が泳いでいるコーナーもありました。

のいち動物公園のピントロング
ピントロング Arctictis binturong
東南アジアに生息するジャコウネコの仲間。
最初見た時は「何だろう?」と思いましたが、尾を木に巻き付けて体を支える習性があるらしく、3頭ほどが絡み合っていました。

のいち動物公園のどうぶつ科学館
「どうぶつ科学館」には野生生物の生態や高知の自然の紹介などが。

どうぶつ科学館のアサギマダラ解説
いちばん惹かれたのが、渡りをする蝶、アサギマダラ Parantica sita の説明。
2007年からマーキング調査(翅にマジックで放蝶地などを書いてから放し、再捕獲されたらどこまで飛んだか分かる)を行っており、2009年には約700キロ離れた鹿児島県喜界島で再捕獲されたそうです。

のいち動物公園のからくり時計
動物公園のシンボル、からくり時計。高さ6メートル、30分おきににぎやかに動きます。

さて……動物園を堪能し、出入り口でもう一度振り返ります。

のいち動物公園入口

お気づきでしょうか?

のいち動物公園から見える謎のお城

もう一度……(アンビリバボーの心霊特集風に ^^;)

のいち動物公園から見える謎のお城

動物園入り口から見える山の上にそびえる、アレは……!?

実は動物園に来て駐車場に止めた時から気付いていて、駐車場の警備員さんに「あれは何ですか!?」と訊いてみました。
よく訊かれるようで、特に動物園とは何の関係もなく、昔閉園になった観光施設なのだとか……!?

調べてみますと、この山は標高265メートルある三宝山で、お城は「シャトー三宝」という観光施設でしたが、2000年に閉鎖。遊園地やレストランもありましたが、その前後には閉園となったようです。
動物園を出た後、以前の龍河洞スカイライン、現在の県道385号線を走ると、お城のすぐそばを通過します。このお城のあたりからは素晴らしい絶景を見ることができるだろうに、もったいないですね。

実は2017年10月4日付けでここを再開発する運営事業者募集の記事が掲載されましたが、2018年7月24日には採算・継続性困難として方針を転換するという記事も掲載されたり、なかなか難しいようです。
観光資源として復活できる日がぜひ来てほしいものですね。


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Author:へろん
へろん(♂)としろ(♀)の夫婦ですが、最近はへろん一人で書いてます。「御朱印」「SF」が多くなってますので、カテゴリからご興味のあるジャンルをお選び下さい。古い記事でもコメント頂けると喜びます。拍手コメントは気付くのが遅れてしまうことがありますが、申し訳ございません m(_ _)m

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