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山梨の「ヨゲンノトリ」

へろんです。
2020年9月に山梨県へ出かけた際、山梨では「ヨゲンノトリ」というものが話題になっているという情報を見かけました。

山梨県広報誌「ふれあい」第65号表紙
山梨県広報誌「ふれあい」第65号表紙に掲載された「ヨゲンノトリ」。

1858年(安政5年)に長崎でコレラが発生し、7月には江戸にも到達、さらには甲斐国(山梨県)でも感染が拡大していったそうです。
喜左衛門(きざえもん)という名主が記した「暴瀉病流行日記(ぼうしゃびょうりゅうこうにっき)」にはこの病気の甲斐国での流行の様子が記録されていますが、8月初頭の記述の中に、この頭が2つある不思議な鳥の絵が描かれているそうです。絵に付された説明によると……

      *      *      *

如図なる烏、去年十二月、加賀国白山ニあらわれ出て、申て云、今午年八・九月の比、世の人九分通死ル難有、依テ我等か姿ヲ朝夕共ニ仰、信心者ハかならず其難の(が)るべしと云々

(現代語訳:図のような烏が、去年の12月に加賀国(現在の石川県)に現れて言うことには、「来年の8月・9月のころ、世の中の人が9割方死ぬという難が起こる。それについて、我らの姿を朝夕に仰ぎ、信心するものは必ずその難を逃れることができるであろう」。)

(以上、山梨県立博物館ヨゲンノトリコーナーのページより引用)

      *      *      *

おお、なんだか最近流行のアマビエとよく似た話ですね。
この鳥の話で特徴的なのは本当に疫病が流行したこと(とはいっても流行した後から書かれたことではありますが……)、一方でこの鳥については「暴瀉病流行日記」の一ヶ所にあるのみで、他には一切の記録がないことです。
ですから「ほんとか!?」と言われれば「まぁまぁそこは……」ですし、「ヨゲンノトリ」という何だかひねりもないなあ、という名前は、実は山梨県立博物館で付けた名前なのだそうです。
たとえそうであっても、こうした逸話というか伝説というかが後世まで残り、新たな疫病が発生した時代に再び注目される、というのも面白いものです。

この鳥、「頭が2つある」と言われているのですが、最初に見た時は失礼ながら「2羽の鳥が重なって見えてるだけじゃないの!?」と思ってしまったことは白状します(^^;)

博物館受付のヨゲンノトリ
山梨県立博物館の受付に飾られていたヨゲンノトリ。
やっぱり2羽が重なっているだけ、に見えないこともない……。

ヨゲンノトリコーナー
山梨県立博物館のヨゲンノトリコーナー。
このエリアは写真撮影OKでした。

ヨゲンノトリコーナーの御朱印など
ヨゲンノトリコーナーの御朱印など。

ヨゲンノトリグッズいろいろ
ヨゲンノトリグッズいろいろ。

山梨県立博物館(正面玄関閉鎖中)
この時、山梨県立博物館は新型コロナ対策で正面玄関は閉鎖中、横の通用門から入館して検温や住所氏名などを記録していました。

大月市観光案内所
さてこの後、JR大月駅前の大月市観光案内所にも寄ったのですが。

大月市観光案内所のヨゲンノトリ
いました、ヨゲンノトリ。うかがってみると、近くの方が個人で作製され、近々山梨県立博物館に寄贈される予定なんだとか。おそらくヨゲンノトリコーナーに一緒に展示されることになるんでしょうね。

大月市観光案内所のヨゲンノトリ
おお、このヨゲンノトリはまさしく頭が2つ!
これを見た瞬間、脳裏にはワーグナーの「双頭の鷲の旗のもとに」が鳴り渡っていました(笑)

岩殿城跡御城印
観光案内所で見つけた、岩殿城跡の御城印。ヨゲンノトリの姿があったので買ってしまいました。
岩殿城は武田氏の家臣だった小山田氏の居城で、1582年(天正10年)、織田・徳川連合軍が武田領に侵攻した際に武田勝頼がここ岩殿城に向かったものの、小山田信茂の離反で武田勝頼は自害。かの武田家は滅亡へ……。
うーん、戦国時代にはありがちとはいえ、ちょっとなぁ……。

御城印に付属の領主肖像
御城印に付属していた、領主・小山田佐兵衛尉信茂の肖像。
御城印ってあまり手は出していませんが、あくまでも神社仏閣の御朱印とはまったくの別ものとして、土産物、記念品としては良いものだと思います。明確に区別した上で、たまに買っていますが、こうした「おまけ」があるのも良い点ですね。

      *      *      *

さて。
この秋は新型コロナに加えてインフルエンザも、とか何とか相変わらず世間の恐怖を煽るだけの専門家やマスコミが跳梁跋扈しているようです。むろん絶対こう、ということは専門家も含め誰も言えませんが、個人的には両方のウイルスがある状態でどちらかが例年程度に流行ることはあっても、それ以上はひどくならないだろう、と考えています。
(免疫的交差というものがあって、一つのウイルスが流行すると、別のウイルスが終息する。例えば例年、秋にはRSウイルスが流行するが、これが減ってきてからインフルエンザが流行する)
絶対こう、とは言えないにしても、過度に恐れるでもなく油断しすぎるでもなく、世の中ほどほどのバランスで乗り切っていきたいものです。「アマビエ」や「ヨゲンノトリ」もそのバランスを取るための拠り所の一助になれば、本人(?)たちも喜ぶのではないでしょうか。


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