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人類の記録よ永遠なれ

近頃は電子書籍がだんだん増えてきていますね。皆様は紙の書籍と電子書籍、どちらがお好きでしょうか?
私の友人の中にも、新しい漫画は電子書籍にしたので場所を取らなくてイイ、と言ってるのがいますが、私はどうも電子書籍に馴染めず、紙の書籍から離れられません。

「小松左京本」の一部
これまでに結婚や引っ越しや転職で優に数百冊は手放しましたが、敬愛する小松左京先生の蔵書数十冊は手放せません。

だいたいそういう話になると、もしも現代文明に何かあったら電子書籍なんて一発で吹っ飛ぶぞ! と言ってるのですが……9月上旬、ネット上の記事で『「4000冊の蔵書が一瞬で吹っ飛ぶ」アマゾンの電子書籍が抱える根本的な落とし穴』という記事を見つけました。
おお、これって普段から私が言ってることでは!? と思って読んでみると、全然違いました(^^;)
なんでも「紙の書籍は所有物だが、電子書籍には所有権はない。あくまでも『利用権の購入』なので、規約違反などでアカウントが停止されれば、すべての蔵書を一瞬で失うことになる」のだとか。

へぇ、「電子書籍に所有権はない」のであれば、そもそも「蔵書」とも呼べないじゃん……。図書館にある本を閲覧する代わりに、お金を払ってスマフォでアクセスする、というのと同じようなものじゃないですかね? なのに紙の書籍を所有する時の価格とあまり変わらないって、高いなぁ……。

      *      *      *

紙の書籍が増えていくと当然保管スペースの問題が出てきますが、もちろん電子データにも同様の問題があります。文明が進むにつれ、また個人の保管する情報が増えるにつれ、データ量は爆発的に増えていきます。

タイトルを忘れてしまったのですが、堀晃先生のSF作品には、ある異星文明で莫大な情報量を保管するのに、固定的な保管ではなく、その情報が利用されている間は、保管していた場所に別の情報を入れてスペースを確保する、という方法が登場していた記憶があります。やってみると情報逼迫度が予想以上に減少していって不思議がっているところへ、隕石か何かで全部吹っ飛んでしまう……私が「電子書籍なんて一発で吹っ飛ぶぞ!」と言ってるのは、こうした作品を読んできたからでもあります。

情報量の増加という問題のほか、その保持期間という問題もあります。
よく言われることですが、情報の保持期間というものは、文明が進むにつれて短くなっています。最古の記録の一つは石板に刻まれた楔形文字で、数千年前のものが残されています。紙に書かれた文字は、きちんと保管すれば数百年はもつでしょう。
一方、20世紀以降に登場した電子的記録は、媒体の限界で数年からせいぜい数十年といわれています。新しい媒体に移し替えていけばいいのですが、ハードやソフトが変わっていくと対応しきれません。現在のデータが未来にはまったく残されていない可能性も十分にあります。

はるかな未来……人類滅亡後、知的生命体がいたという痕跡はどこにも残っていないかもしれません。さらには数百億年かそれ以上未来、この宇宙が終焉を迎えた時、その先にまで「この宇宙には知的生命体が存在した」「我、ここに存在せり」といった痕跡を伝えることができるでしょうか。

ネタバレになってしまいますが、これに踏み込んだSFが長谷川裕一先生『マップス』、そして私の敬愛する小松左京先生『あなろぐ・らゔ』
『マップス』では一種の「システム暴走」で、結果的に古くからの宇宙の記録は失われます。そりゃ記録を維持するため現在まで犠牲にしてしまうのはダメだろう、というのは当然なのですが……失われれば二度と戻らない古い古い記録と、(作中の)現代文明が相容れなかったのは残念でなりません。

一方『あなろぐ・らゔ』では、人類ではない何者かにより「この宇宙以前に存在した宇宙から、偶然によって、この宇宙まで保存されたもの」が発見されます。おそらくそれは、

『「宇宙全体の傾向」に対する「一時的局所的勝利」の記念碑として』、『「この宇宙では、“美”が出現した…」「われ等、“美”を見たり」という、はるか以前の、別の宇宙における「達成」の記録であり、他の宇宙に対する、はげましのメッセージ』

として、残されたものです。
技術的に可能かどうかは別として、せっかく誕生した人類、せっかく生まれた知性、生み出された文明、そうしたものがこの宇宙には存在した、という証拠、記録を残していく、それこそが人類の存在意義、使命の一つではないか、と結構本気で考えています。

      *      *      *

2014~2015年頃、日立製作所と京都大学の研究による、石英ガラスへの記録保存技術の記事がいくつかありました。

その記録の保存期間、実に3億年!!

まぁ理論値であって現実に3億年先まで残るかは検証のしようもないでしょうが、ものすごい話ではあります。
ちなみに、「2014年12月、鹿児島県の種子島から打ち上げられた小惑星探査機《はやぶさ2》の打ち上げロケットに相乗りした小型副ペイロード《しんえん2》には、この技術を用いて「3億年後へのメッセージ」を描画した石英ガラスが搭載された」のだそうです。

ところでこのことを調べていて気になったのが、2015年以降はこの続報を見なくなった一方、2019年頃から突如として、マイクロソフトとワーナー・ブラザースによる石英ガラスへの映画データ保存計画が記事になり始めたこと。両者は同系統の技術開発ではないかと思われます。
同時多発的に現れたものなのでしょうか? 2015年頃の日本国内の開発はどうなったのでしょうか?
特許問題とか技術流出のようなヤボな問題が生じることなく、国内の技術開発もしっかりと進められていることを心より願いたいものです。


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ジャンル : 小説・文学

ワクチン接種2回目★★

2021年9月10日。
新型コロナワクチンの2回目接種に行ってきました。


Covid-19ワクチン

……ということは、前回のブログ更新から3週間以上更新できてなかったというわけか……スミマセン m(_ _)m

ネットから予約した時間に間に合う様、接種会場になっている公民館に向かいます。5~6月に高齢者枠で接種した母の時も、3週間前の第1回目の時も、予約時間までは時間ごとに区分して並べられた椅子に座って、時間が来るまで待機しました。
今回も30分ほど待つつもりで行ったのですが……会場に着いてみると、予約時間まで待たずとも、来た人からどんどん接種会場に案内されて、受付から接種まで進められていました。巷で言われるよりもうちの自治体は手際が良いと感じていましたが、さらに手際が良くなったのか、それとも予約する人が減って余裕ができたのか……?
そんなわけで、予定よりも30分以上早く、接種が完了してしまいました。

接種前の体温は、36.1℃
うん、こんなものでしょう。

午前10時頃の接種の後、帰宅して様子を見ます。
腕がちょっと痛むかな? という他に特に異常を感じませんが、昼食後に測ってみますと。

35.8℃。

接種前より下がってるやん!
(マジメに書くと、まぁこれぐらいは変動の幅内でしょう)

夕食後、午後8時頃。36.3℃

これも変動幅内でしょうが、さて、夜になって悪寒が走ったとか翌日に発熱したとかもネット上では聞きますので、油断はできません。

接種翌朝、特に変調も感じず、いつも通りの目覚め。

午前6時、35.6℃
午後1時、35.8℃
午後5時、35.9℃

結局、ちょっと腕が痛いかな、といった他に、副反応と思えるものは一切ありませんでした。腕の痛みですら、1回目よりもマシで、翌日の夜にはもう忘れてました。

巷では副反応がああだこうだとマスコミがやたらに取り上げますが……副反応があった、という情報と同程度に、副反応がなかった、という情報も重要なはずです。
実際のところ、2回目接種後の発熱はざっくり言って3~4割ぐらいに認められるそうです。とすれば、6割以上の人は発熱しないということになります。
実際に重い副反応があったという人もいますし、副反応を軽く見ても良いというつもりは毛頭ありません。ただ、世間が(マスコミが?)あまりに副反応を怖がらせすぎるというのも、いかがなものでしょうか。

9月17日、「ブラジル、未成年者へのワクチン接種を停止の可能性」という記事を見かけました。
「死亡したケースや副反応に懸念が持たれている」ため、ということですが……よく読むと、報告されている「副反応の問題」1545件のうち、93%が未承認のワクチンだった、とのこと。
それって副反応が問題というより、まず未承認ワクチンが問題なのと違いますか!?
そう考えると、このタイトルの付け方ってどうなんでしょう?

これまでにも書いてきましたが、例えば「ゆとり教育」から「脱ゆとり教育」への急旋回や、性急で形式ばかりの「働き方改革」など、日本はあまりにも極端に振り子が振れ過ぎることがよくあります。
新型コロナについても、極端に「コロナはコワい」派が大手を振って、無意味なロックダウンを容認する世論を形成しようとしています。一方で「副反応はコワい」派も幅を利かせ、バカげた陰謀論を結果的に助ける形になってしまっています。
新型コロナも副反応も正しく理解し、適切に恐れることが必要だと思うのですが、何でも極端に振り切ってしまう社会、というのは一歩間違えると取り返しのつかない方向にぶっ飛んでしまうような気がします。

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