fc2ブログ

今日は何の日…?

 2月14日? えっと……何の日でしたっけ?? とモテないヤローがお約束のボケをかます日です(爆)

 先日たまたま寄り道した駅の和菓子屋にて。

たしかにバレンタインは甘くなかったなぁ…

 うん、確かにバレンタインって甘いことは何一つなかったな、と深く納得してみる。
 酒好きな旧友が「バランタインのこと?」と茶々を入れ、さらにミリヲタな友人が「ヴァレンシュタインか?」と混ぜっ返すのも毎年の恒例行事(^^;)
(ヤボな注釈。バランタイン:スコッチウイスキーの一種。ヴァレンシュタイン:17世紀オーストリアの傭兵隊長)

 さて。
 今日はともかく、昨日、2月13日は「苗字制定記念日」だそうです。1875年(明治8年)2月13日、苗字を名乗ることを義務づける「平民苗字必称義務令」が発布されたのだとか。

 アメリカのように移民が多い国は当然苗字の種類も多くなりますが、そうした国は別として、日本は世界的に見ても苗字の種類が非常に多くあります。その理由の一つが、明治時代に「平民苗字必称義務令」で庶民も苗字を定めることが決められたため、多くの苗字が誕生した、と言われてますね。
 小さい頃に見たテレビで、義務令が発布された時、読み書きを知らない庶民が新しい苗字をつけてもらおうと地主やお寺につめかけ、人数が多すぎて、しまいにはかなりいい加減に付けていったため様々な珍姓が生まれた、と説明されていました。もっともそれは一種の都市伝説かも知れませんし、実は庶民でも昔から苗字に類するものはあった、という説も読んだことがあります。また時折紹介される珍姓の中には、実は架空のものや実在を確認できない「幽霊苗字」もあるそうです。
 しかしそれでも、一説には10万種もあろうかという苗字の多様性は、貴重な日本文化の一面として維持されていってほしいものです。

 ところで現在の少子化、今後の人口減少によって、消滅していく苗字も増えるのではないかと思われます。かねてより夫婦別姓問題が議論されていますが、貴重な苗字の方は、夫婦同姓の下では迷われるかもしれませんね。
 苗字の多様性問題は余談ですが、個人的には選択的夫婦別姓には全面的に賛成しています(「選択的」、つまり同姓でも別姓でも好きな方を選べることが最も重要)。姓が違うと一体性が、とか言うお偉いさんもいましたが、姓が同じでないと維持できない一体性なんてのは、所詮その程度のもの、と思います。
 別姓にしたら法改正とか大変、とか言う人もおられますが、現状の同姓にするために個人が払う労力だって大変ですし。通称とかを使えば別姓にする必要はない、という意見もありますが、それは同姓でなければならない理由にはなりません。子供の姓をどうする、という話が出ますが、子供の間は夫婦どちらかの姓を決めておいて、成人したら本人の希望次第で変更も可、とすれば良い。兄弟の一方が夫、一方が妻の姓(家)を継ぐ、でも良い(相続とかいろいろ問題も出るでしょうが、それは今でも同じこと)。
 何一つ問題のない方法はあり得ませんが、一方で何とでもやりようはありますから、誰でも好きな方を選択できる、それがいちばん大切なことじゃないか、と思います。


スポンサーサイト



テーマ : 今日は何の日
ジャンル : その他

短編 『Too Short Notice』

『時を歩く』表紙

 東京創元社文庫創刊60周年記念刊行SFアンソロジーの時間編、『時を歩く』。創元SF短編賞の正賞・優秀賞受賞者、佳作入選者7名の作品を収録、「2020年代のSF界を牽引する“東京創元社生まれ”の気鋭作家たちが贈る、書き下ろしテーマ・アンソロジー」なのだとか。
 時間ものSFはこれまでも取り上げてきましたように好きなテーマですので、どんなものか拝読させて頂きましょう、と手に取ってみたのですが。

 冒頭の一作目、松崎有理氏「未来への脱獄」
 刑務所に服役することとなった主人公と同じ房にいたのは、自分は未来人だと主張し、陪審員を怒らせて懲役250年をくらったという怪しい人物。その人物はタイムマシンの原理を披露し、二人は刑務所内の限られた資材を使ってタイムマシンを作り始める……。
 一ヶ所だけ、「実験」を行った時なぜそうなったかが理解できなかったのですが、その一点を除き、タイムマシンをどのように使ったのか、彼はどうやって250年もの服役を乗り切ったのかは、なるほどと思わされました。ラストの

「おい、おまえの相棒は正真正銘の未来人だぞ。これからは彼を助けて、こんどこそ未来へ帰れるタイムマシンを作ってやれ。やつの贖罪は終わったんだ」

という言葉がとても清々しく感じる、良い作品でした。


 ただ二作目以降は……
 幽霊譚を題材にしているものの、複雑でついていけなかったお話。
 有名な「アキレスと亀」のパラドックスを題材にしているのだけれど、ラストがよく分からないお話。
 何とか巡礼とか次々出てくるのだけれど、だから何なのかよく分からないお話。
 厚労省に雇われた非正規職員が、業務として時間遡行して事故や災害から被害者を救う……のはいいのだけれど、何だかオチがないようなお話。
 〈不老不死〉と〈意識拡張〉を得るため人類が仮想現実内へ総引っ越しするのだけれど、それと「地球延命計画」を無理やり結び付けたようなお話。
 うーん、その他はワタクシ的にはイマイチだったかな?(一個人の感想です ^^;)と思ったのですが。

 最終話、門田充宏(もんでんみつひろ)氏「Too Short Notice」。これは往年の小松左京作品を思い出させるほど、深く感動しました。

      *      *      *

 気が付くと、彼は何もない白い部屋にいた。部屋の一角には不規則にカウントダウンする謎の数字。そこへ現れる一人の「美女」。美女ということは分かるが、なぜかつかみどころがなく、どう美しいのかも分からない-。
 やがて明かされるのは、彼は事故によって現実にはあとわずかで死んでしまう運命にある。そこでこの特別処置が開始されることになった。この仮想空間内では主観時間が大幅に引き伸ばされ、彼の望むままのことを行うことができる……。
 謎のカウントダウンは使用できる情報量を示しており、複雑なことをやればそれだけ早くカウントダウンが進む。「美女」がつかみどころがないのも、具体化すればそれだけ情報量を消費するためだった。
 もし情報消費量の少ないこの白い部屋のままなら、過ごせる主観時間は実に382年。それは現実的ではないが、例えば本人の記憶を元に「人生を一からやり直してみる」ことさえできる。しかも「これは現実じゃない、本当はあと少しで死ぬ」なんて思ってたら楽しむことはできないが、そうした意識をブロックすることさえ可能……! そして何を望んだかというプライバシーも守られるようで、たぶん「あんなこと」や「こんなこと」(笑)も思いのまま……。

 そんな状況だったら、何を望むだろうか?

 すべて仮想空間で完結するだけではなく、現実世界に影響を与える術もあることを知った彼が望んだこと。それは与えられた情報量の大半を消費してでも、彼が係わっていたある壮大なプロジェクトを、ほんのわずかでも一押しすることだった……。

      *      *      *

 そう書くと何だか主人公が一種の「仕事人間」みたいに思われてしまうかも知れませんが、そんなみみっちい?「仕事」の話ではありません。もし仮に私が同じ状況になったとしても、そんな有意義なプロジェクトに携わったことの無い身としては、現実でやっていた仕事をやろうなどとは1ミクロンも思いません!(きっぱり) 現実世界にもアウトプットができるのであれば、現実ではできなかった著述業をやってみたいな、とは思いますが。
 少々ネタバレ気味かも知れませんが、彼が望んだことは、以前書きました「人類の記憶よ永遠なれ」の内容にも通じるものでした。

「彼らは、自分たちがそろそろ終わりを迎えつつあることに気付いてしまっていた。
 それほど遠くない未来に、誰にも看取られないまま、知られることのないまま自分たちは滅び、その痕跡さえもいつか消滅する。そうして初めからいなかったのと同じことになってしまう。このままなら。」


 だからこそ、彼はこのプロジェクトに携わり、実を結ぶかどうかも分からないものの、仮想空間からのアウトプットを行ったのです。

      *      *      *

 SFでは仮想空間への意識転送で不老不死、みたいなテーマがちょくちょく描かれますが、たとえ仮想空間にコピーしたとしても、それは自分とは別の独立した「もう一つの自分」。自分とは別に、仮想空間にいる存在が不老不死となるだけで(それだって仮想世界を維持するハードウェアにもいずれ限界が来ると思うのですが)、現実の自分はやはりそのまま、いずれは死ぬ存在であるはず。
 やはり現実世界に勝るものはない。かりそめの仮想空間でかりそめの享楽を享受するよりも、現実世界にほんのわずかでも成果を残したい。
 己の(仮想空間での)残りの人生すべてを賭けてでも成し遂げよう、という主人公の姿には心から感動しました。それほどの「為すべきこと」があるというのも、ある意味うらやましく思います。まぁもしも仮に自分が同じ立場になったとしても、これほどのことはできないだろうな、という自信(笑)はありますが……。
 ラスト、彼をサポートした「美女」ー AIが作り出し、彼が死ねば役目を終えて存在しなくなるはずの彼女も、こう応えます。

「本当だったらただ消えてしまうだけだったはずのわたしも、もしかしたら何かを残せたかもしれない、って思うんです。ご一緒でてきて楽しかったです。本当にありがとうございました」

 彼がどんな人生を歩んできたのかは分かりませんが、彼の現実世界での人生、そして死の間際でも成し遂げようとしたことを理解し、価値を認めた彼女の言葉は、おそらく彼にとって最高の手向けとなったのではないでしょうか。仮想世界のどんなかりそめの享楽よりも、彼は満足したのではないかと思います。
 自分は、そして人類は、何を残せるだろうか……
 大したことはできやしないのは充分に分かっているのですが、時にはそんなことを思ってしまいます。

テーマ : SF・ホラー・ファンタジー
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

へろん

Author:へろん
へろん(♂)としろ(♀)の夫婦ですが、最近はへろん一人で書いてます。「御朱印」「SF」が多くなってますので、カテゴリからご興味のあるジャンルをお選び下さい。古い記事でもコメント頂けると喜びます。拍手コメントは気付くのが遅れてしまうことがありますが、申し訳ございません m(_ _)m

カウンター
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
ぺそぎん メモ帳
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR