『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』-半世紀の想い出その3
『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』に出会う前だったか後だったか、いつ頃だったかは記憶が定かではないのですが、ある時テレビCMで流れていた音楽が気に入り、母親に
「これ何て曲?」
と訊きました。その答えは
「第九。ええ曲でしょ?」
「うん!」

「ダイク」というのがベートーヴェンの交響曲第9番『合唱』であることを認識したのはもう少し後だったと思います。
何のCMだったのかもさっぱり覚えていませんが、たぶん年末だったのでしょう。
ともあれあの有名な
Freude, schöner Götterfunken …
おそらくほとんどの人が知っているであろうあの合唱部分が大いに気に入り、いつか全曲を聞いてみたいと思っていました。
子供にとっては大きな買い物だった『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』以降、当時500円程度だったシングルレコードはいくつか買っていましたが、それから数年後、音楽関係で二つ目の「大きな買い物」となったのが、ベートーヴェンの交響曲第9番『合唱』でした。
なぜレコードではなくカセットテープにしたのかはよく覚えていませんが、お値段的にはヤマトと同じぐらいで、中学生としてもやはり「大きな買い物」には違いありませんでした。
のちに割と詳しい友人から聞いたところでは、録音が良いからそれなりのお値段ということでした。安物のレコードプレーヤーやラジカセしかなかった我が家には宝の持ち腐れではありましたが(^^;)
買って初めて聴いた時には、気に入っていた合唱が第4楽章であることも知らず、初めから聴いていたため、第2楽章で寝てしまったりもしましたが……(苦笑)
その頃、テレビでは『題名のない音楽会』のような音楽番組がいくつかあり、こういう番組も見るようになって、他のクラシックも知るようになります。そのうち、テレビではCMや番組の中でBGMで結構クラシックが使われていることにも気付きました。
そうして知った曲、気に入った曲のテープをぽつりぽつりと買い集めていきました。
ベートーヴェンの交響曲第5番『運命』。
ドヴォルザークの交響曲第9番『新世界より』。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番……。
別にクラシックが高尚だとか敷居が高いとか、そんなことは露とも思わず(今だって思ってません)、廉価版のカセットの存在を知ってからは、さらにクラシックのテープを買うようになりました。
まぁ小学生の頃からアイドルとかにはあまり興味はなく、これもテレビCMでサビが流れていた谷村新司『昴』を気に入ったりしていましたから、もともと他の子よりもだいぶシブめの好みではあったのかも知れませんが。
そんなこんなで当時から今まで、もし好きな音楽のジャンルは? と訊かれたなら「クラシック」となるのですが……これまでの経緯を見ていただければご理解いただけるかと思いますが、「クラシック」も好きとはいえ、一番好きなのは「交響曲」というのが本音です。ただそれでは通じにくいので、便宜的に「クラシック」という答えになりますが……。
専門家からは何一つ同意されないでしょうが、私から見れば、ベートーヴェンの『合唱』とヤマトの『明日への希望 ~夢・ロマン・冒険心~』は、与えうる感動の種類からみて同じカテゴリーの曲と考えることができる、と思っています。
ちなみに『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』に付いていた解説には、一曲ごとに作曲・編曲の宮川秦氏とプロデューサーの西崎義展氏の対談が載っており、クラシックに触れた内容がたくさんあります。
「ぼく(西崎)はこの曲(『序曲』)をきいたとたん、思い出したのが『白鳥の湖』なんですよ。少年時代に初めてあの『白鳥の湖』の序曲をきいた時、限りなく広がる夢と切なさを感じた記憶があるけど、それを思い出しました」
「現代の子供たちはシンフォニーの良さを知りませんよね、メロディとかリズムばっかり追って……。こうした曲を通じて、シンフォニックサウンドのすばらしい質感、スケールの大きさを感じ取ってもらいたいな」
「これ(『決戦』)もチャイコフスキーを思い出させるね」
「そうなの。これもチャイコフスキーなの」
「『1812年』という序曲で、ナポレオンが進撃するときはラ・マルセーユは勢いよく響くけど、雪に阻まれてとぼとぼと敗走するときには、ラ・マルセーユが次第に消えていくのね。あのイメージを思わせる」
「今の若い人たちはあまりクラシックを受け入れないけど、クラシックの中にもチャイコフスキーとかベートーヴェンとかロマン派の音楽の中には、ストーリー性のある楽しいものもあるわけで、そういう要素を現代のシンフォニーとして受け入れてほしいですね」
「クラシック音楽はなにも知性と教養で聞くものじゃなくて、肌で感じればそれでいいんだ。今の若い人たちにも大編成のシンフォニーの楽しさを味わってほしいな。(中略)楽器の本質から出る迫力はやはりシンフォニーですよ」
別にこの解説に乗せられたわけではないのですが、後から読むとまるで乗せられたみたいですな(^^;)
それにしてもこの解説は45年ほど前の文章ですが、今読んでもまったくそのままあてはまる内容だと思います。
そして『銀河英雄伝説』。
なぜヤマトの音楽の話から『銀河英雄伝説』につながるかと言えば、石黒版と呼ばれるアニメではBGMにクラシック、しかも交響曲がふんだんに使われていたからです。
次回、クラシックとSFにまつわる半世紀の思い出の振り返り、たぶん最終回(笑)。
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『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』-半世紀の想い出その1
『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』-半世紀の想い出その2
「これ何て曲?」
と訊きました。その答えは
「第九。ええ曲でしょ?」
「うん!」

「ダイク」というのがベートーヴェンの交響曲第9番『合唱』であることを認識したのはもう少し後だったと思います。
何のCMだったのかもさっぱり覚えていませんが、たぶん年末だったのでしょう。
ともあれあの有名な
Freude, schöner Götterfunken …
おそらくほとんどの人が知っているであろうあの合唱部分が大いに気に入り、いつか全曲を聞いてみたいと思っていました。
子供にとっては大きな買い物だった『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』以降、当時500円程度だったシングルレコードはいくつか買っていましたが、それから数年後、音楽関係で二つ目の「大きな買い物」となったのが、ベートーヴェンの交響曲第9番『合唱』でした。
なぜレコードではなくカセットテープにしたのかはよく覚えていませんが、お値段的にはヤマトと同じぐらいで、中学生としてもやはり「大きな買い物」には違いありませんでした。
のちに割と詳しい友人から聞いたところでは、録音が良いからそれなりのお値段ということでした。安物のレコードプレーヤーやラジカセしかなかった我が家には宝の持ち腐れではありましたが(^^;)
買って初めて聴いた時には、気に入っていた合唱が第4楽章であることも知らず、初めから聴いていたため、第2楽章で寝てしまったりもしましたが……(苦笑)
その頃、テレビでは『題名のない音楽会』のような音楽番組がいくつかあり、こういう番組も見るようになって、他のクラシックも知るようになります。そのうち、テレビではCMや番組の中でBGMで結構クラシックが使われていることにも気付きました。
そうして知った曲、気に入った曲のテープをぽつりぽつりと買い集めていきました。
ベートーヴェンの交響曲第5番『運命』。
ドヴォルザークの交響曲第9番『新世界より』。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番……。
別にクラシックが高尚だとか敷居が高いとか、そんなことは露とも思わず(今だって思ってません)、廉価版のカセットの存在を知ってからは、さらにクラシックのテープを買うようになりました。
まぁ小学生の頃からアイドルとかにはあまり興味はなく、これもテレビCMでサビが流れていた谷村新司『昴』を気に入ったりしていましたから、もともと他の子よりもだいぶシブめの好みではあったのかも知れませんが。
そんなこんなで当時から今まで、もし好きな音楽のジャンルは? と訊かれたなら「クラシック」となるのですが……これまでの経緯を見ていただければご理解いただけるかと思いますが、「クラシック」も好きとはいえ、一番好きなのは「交響曲」というのが本音です。ただそれでは通じにくいので、便宜的に「クラシック」という答えになりますが……。
専門家からは何一つ同意されないでしょうが、私から見れば、ベートーヴェンの『合唱』とヤマトの『明日への希望 ~夢・ロマン・冒険心~』は、与えうる感動の種類からみて同じカテゴリーの曲と考えることができる、と思っています。
ちなみに『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』に付いていた解説には、一曲ごとに作曲・編曲の宮川秦氏とプロデューサーの西崎義展氏の対談が載っており、クラシックに触れた内容がたくさんあります。
「ぼく(西崎)はこの曲(『序曲』)をきいたとたん、思い出したのが『白鳥の湖』なんですよ。少年時代に初めてあの『白鳥の湖』の序曲をきいた時、限りなく広がる夢と切なさを感じた記憶があるけど、それを思い出しました」
「現代の子供たちはシンフォニーの良さを知りませんよね、メロディとかリズムばっかり追って……。こうした曲を通じて、シンフォニックサウンドのすばらしい質感、スケールの大きさを感じ取ってもらいたいな」
「これ(『決戦』)もチャイコフスキーを思い出させるね」
「そうなの。これもチャイコフスキーなの」
「『1812年』という序曲で、ナポレオンが進撃するときはラ・マルセーユは勢いよく響くけど、雪に阻まれてとぼとぼと敗走するときには、ラ・マルセーユが次第に消えていくのね。あのイメージを思わせる」
「今の若い人たちはあまりクラシックを受け入れないけど、クラシックの中にもチャイコフスキーとかベートーヴェンとかロマン派の音楽の中には、ストーリー性のある楽しいものもあるわけで、そういう要素を現代のシンフォニーとして受け入れてほしいですね」
「クラシック音楽はなにも知性と教養で聞くものじゃなくて、肌で感じればそれでいいんだ。今の若い人たちにも大編成のシンフォニーの楽しさを味わってほしいな。(中略)楽器の本質から出る迫力はやはりシンフォニーですよ」
別にこの解説に乗せられたわけではないのですが、後から読むとまるで乗せられたみたいですな(^^;)
それにしてもこの解説は45年ほど前の文章ですが、今読んでもまったくそのままあてはまる内容だと思います。
そして『銀河英雄伝説』。
なぜヤマトの音楽の話から『銀河英雄伝説』につながるかと言えば、石黒版と呼ばれるアニメではBGMにクラシック、しかも交響曲がふんだんに使われていたからです。
次回、クラシックとSFにまつわる半世紀の思い出の振り返り、たぶん最終回(笑)。
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