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『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』-半世紀の想い出その2

 小学生の頃、生まれて初めて買ったLPレコード『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』

 親友の家で初めて聴いた時はとんでもなく感動したものですが、親戚のお兄ちゃんにレコードから録音してもらったカセットテープを聴いた時は、同等の感動は得られませんでした。
 もちろんどの曲も素晴らしい曲で、『序曲』の壮大な盛り上がりの部分や『誕生』でヤマトのテーマに至るまでの軽快なメロディなど、何度も繰り返し聴き続けていました。
 ただ、初めて聴いた時のあの衝撃的な感動がどの部分だったのかも忘れていたある時。

 それまでイヤホンといえば片耳だけの安物でしたが、何かの機会に初めて両耳のイヤホンを経験しました。
 そうかそうか、両耳だと左右から音が分かれて聞こえるのか……と気づき(この時初めてモノラルとステレオの違いを知った)、あの『明日への希望 ~夢・ロマン・冒険心~』後半を聴いた時……

「これだ!!」と飛び上がらんばかりの衝撃が甦ったのです。

      *      *      *

『明日への希望 ~夢・ロマン・冒険心~』の後半は、

 ララーラララー、ラララララー……♪

というコーラスが何度か繰り返されます。
 さてここからは音楽的知識もないのであまりうまく説明できませんが、ステレオイヤホンによって改めて気づいたのは……

 後半部分、「ララーラララー……」のコーラスはやや控えめな男声で始まります。
 このパートの最後、

 ララーララ ラララララー♪

は男声コーラスによる旋律が下がって終わります。
 モノラルでは男声コーラスに紛れて聞き取りにくいのですが、バックではポーン、ポーンとエレキギターでメロディが奏でられています。このメロディ、男声コーラスが下がって終わるのに対して、上がって終わるんですね。
 こういう書き方でお分かりいただけるかどうか……
男声が

 ララーララ ラララララー

に対して、バックのエレキギターは

 ララーララ ラララララー

と上がり調子で終わるのです。(エレキギターは当然「ラララ―」ではないですが比較ということで ^^;)
 この後は女声コーラスがメインとなり、最後は下がって終わりますが、そのバックではオーケストラの演奏が、先ほどのエレキギターと同じ旋律を奏で、上がって終わります。
 続くパートではバックに男声コーラスも加わりますが、メインの女声コーラスが下がって終わる時、今度はバックの男声コーラスが上がって終わっています。これもステレオイヤホンでないと気付きませんでした。

 単に同じメロディが繰り返されているのではなく、高低の異なる旋律をコーラスや楽器がそれぞれ奏で、それらが組み合わされることによって生み出される美しさ。そしてパートごとにその組み合わせが変わりながらも、繰り返しながら盛り上がっていく壮大さ。

 親友の家で初めて聴いた時は、たまたまバックの音が聞こえやすい方のスピーカーの前にいたのだと思います。
 親戚のお兄ちゃんに録音してもらったカセットテープは確かにステレオだったのですが、当時自宅で持っていたラジカセはスピーカーが一つしかありませんでした。モノラルだとメインの主旋律の方が大きく、バックの音はあまり聴き取れません(当時だけでなく今でも、PCの外部スピーカーで聴くと同じことで、ステレオイヤホンでないと聴き取れませんね)。だからステレオイヤホンを手にするまで、バックの旋律まで意識した組み合わせの美しさに気付かなかったのです。

 このような技法というか表現というか、何か呼び方があるのか、あるなら何と呼ぶのかは分かりません。ただ子供心に、音楽といえば主旋律だけを追っていたのが、複数の旋律や演奏の重なりによって生み出される美しさ、壮大さに圧倒されたのでした。
 繰り返されるに伴ってだんだん盛り上がっていく過程はラベルの『ボレロ』のような力強さがあり、さらに男声が「ラララララー⤴」と上がって終わるのが、文字通り「高らかに歌い上げる」といった感じでものすごく気に入り、この個所も何度も繰り返し聞いていました。
 男声コーラスと女声コーラスのハーモニーは、ベートーヴェン『合唱』の二重フーガにも似た荘厳ささえ感じます。

 そんなこんなで、もし「すべての音楽の中でいちばん好きな曲は何か?」と聞かれれば、まずこの『明日への希望 ~夢・ロマン・冒険心~』を挙げたい……のですが、なかなか知っている方がおられないので、詳しく説明できる場合に限られますが(^^;)

交響組曲 宇宙戦艦ヤマト(1977)

 そしてこの曲を含む『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』が、その後の音楽の好み全体を決定づけることになります。
 さらに続きます。

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テーマ : 宇宙戦艦ヤマト
ジャンル : アニメ・コミック

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『ヤマト』一作目のフィナーレに相応しい名曲でした

こんばんは。

画像が前回と同じだったため「その2」に更新されていることに気付くのが遅れてしまいました(汗)。

「交響組曲・宇宙戦艦ヤマト」は基本的にTVアニメのサントラでしたが、「明日への希望」だけはあのレコードのオリジナル曲でしたね。
「明日への希望」を聴いているとき、私の脳内には地球へ帰還してくヤマトと第一艦橋で歓喜する乗組員たちの姿が浮かんでおりました。

ちなみにリメイク版『2199』の最終回はこの「明日への希望」で綺麗に締めくくっていました。
『2199』の出渕監督も大のヤマトファンだったそうで、私としても「解ってくれてるなあ」とあのリメイク版は(一部の設定変更を除いて)かなり高く評価しています。

Re: 『ヤマト』一作目のフィナーレに相応しい名曲でした

トガジンさん、コメントありがとうございます。

実は私も同じ画像だと更新が気付かれないかも、と思ったのですが、やはりそうでしたか(^^;) 失礼しました。

今回の内容でどうしても他の画像が思いつかず結局同じにしましたが、ご指摘を受けて下の方へ移動させてみました。ご指摘ありがとうございました m(_ _)m

『明日への希望』と、確かラストの『スターシャ』もこのアルバムのオリジナルですよね。オリジナルなだけに、製作者全員の意気込みの結晶のような曲だと思います。
リメイク版での『地球の緑の丘』、タイトルもハインラインの名作SFのオマージュですね。YouTubeで聞きましたが、これも良い曲になっていると思います。このシリーズ記事の最終回までには『地球の緑の丘』も触れようと思っています(^^)
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