映画「メッセージ」感想 - その2
へろんです。
「メッセージ」感想その1を6月にアップしてから間が空いてしまいましたが、一部を除いて公開もほぼ終了してるようですので、続きをアップしたいと思います。ネタバレもありますので、ご了承の上お読みいただければ幸いです。
* * *
世界各地に出現した異星人(ヘプタポッド)に対し、中国人民解放軍のシャン上将は宣戦布告することを宣言します。アメリカでは女性言語学者ルイーズ・バンクス達が異星人とのコンタクトを続けてきましたが、戦争の危機を前に、アメリカも撤収を決めます。コンタクトを続けようとするルイーズに対し、CIAのハルパーン捜査官はコンタクトの継続を諦めることを強制してきます。
その頃ルイーズは、時間の概念がまったく異なり、過去も未来も同時に存在しているという世界観を持つヘプタポッドの言語を習得することにより、未来の光景が垣間見えるようになっていました。
何とか中国の開戦を阻止したいと苦悩するルイーズの心中に、未来の光景が現れます。
それは今から1年半後、ヘプタポッドの言語を研究した本の出版記念パーティのようでした。そこには中国や日本も含め、各国の国旗も掲揚されています。
そして出席者の一人として、中国人民解放軍のシャン上将がやってきます。
シャン上将はルイーズに語りかけます。「1年半前、あなたが私に電話をかけてきたことに驚かされた」。それによって私は攻撃回避を決断したのだ、と。
「でもあなたの電話番号を存じ上げませんわ」
するとシャン上将はほほ笑み、自分の携帯を取り出して電話番号を表示させます。「ほら、今知った」と。
電話番号を知った現在のルイーズは、ハルパーン捜査官の携帯電話を使ってシャン上将に電話しようとします。しかし、ルイーズはシャン上将に何と言ったのか? 何と言えば戦争の危機を回避できるのか?
必死で凝視する未来の光景の中で、シャン上将がルイーズの耳元にささやきます。あなたはこう言った。それは私の妻が死の間際に残した言葉と同じだったのだ。
そこまで見た現在のルイーズは、未来の光景で見た番号に電話をかけ、そして聞いた言葉を伝えます。
そこへなだれ込んでくるハルパーン捜査官。ルイーズが使った電話を取り上げ、彼女の努力もここまでか、となりますが……
間もなく - 中国が戦争回避を決断したことが伝えられます。そして通信回線を切断していた各国は再び回線をつなぎ、それぞれ各国がバラバラに探究していた情報が集まり、つながり始め、事態は良好な方向へ。
やがて……世界12ヶ所に出現していたヘプタポッドの宇宙船は、上昇を開始し、消えていきます。まるで地球人がまとまったことを見届けたかのように。
ヘプタポッドがルイーズに語ったことの一つに、彼らが地球にやってきた目的の一つは、3000年後には地球人の助けが必要になるから、というものがありました。だからこそ現代の地球人を助けるために「武器」(=ヘプタポッドの言語)を伝えたのでしょう。これにより地球人がまとまることができるように。
3000年後にはヘプタポッドとのいかなる再会が待っているのでしょうか。
* * *
さて……上記のようにルイーズは未来の自分を見ることで戦争の危機を回避したわけですが、少々不思議なことがあります。未来のルイーズが現在の自分の延長線上の自分自身であるならば、未来の自分はすでにシャン上将の電話番号を知っているはずです。しかし未来の自分は知らず、教えてもらって初めて知ったように描かれていました。
とすれば……未来の自分が知らないことを現在の自分が知る、という「因果律(まず原因があって、それにより結果がある)の崩壊」が起こっているわけですよね。
未来の自分が知らないのではなく、知っているがもう一度確認した、みたいな描き方だったら因果律は崩壊しなかったのでしょうが……(例えば、未来のルイーズが「あれからも番号は変わっていませんか?」と問い、シャン上将はほほ笑んで「もちろん変わっていませんよ、ほら」と携帯を示す……私だったらそんなやり取りを描くだろうな)。
あるいは……ヘプタポッドにとって時間は直線的な流れではなく、過去も未来も同時に存在しているという世界観を有しています。その言語を学んだルイーズにとってもすでに、過去も未来も同時に存在しているようなものであり、原因→結果という因果律はすでに無意味なものになっている、ということなのかも知れませんね。
ルイーズに電話番号を教え、その時の言葉を伝えたシャン上将も、実はヘプタポッドの言葉を習得していて、自分が教える行為が過去の危機を救ったということを理解した上でルイーズに伝えたのかもしれません。「ほら、今知った」という微笑みは、そうしたことを示唆していたのかもしれませんね。
ところでパンフレットには、世界各地に出現したヘプタポッドの宇宙船のイラストが掲載されています。北海道に現れたという光景がこれ。

この地形からすると……これって函館じゃありませんか!

しかも函館市豊川町のあたりではないかと。こんな都市のど真ん中に、しかもこんな低空に出現したとは!!
そして、ラスト付近でヘプタポッドの宇宙船が消えていくシーンの一つがこちら。

※予告編より拝借しました。予告編では「正体不明の物体が世界各地に出現」というナレーションとともにこの場面が使われていましたが、映画ではヘプタポッドの宇宙船が消えていくシーンとして使われていました。
これは……東京ではありませんか!! 画面左手前に見える白っぽいビルはよく見ると裾広がりになっており、どう見ても新宿ビル群の一つ、損保ジャパン日本興亜本社ビルに見えます。函館とちゃうやん! 日本では北海道ではなく新宿上空に出現していたのか!? いえいえ、映画の中ではちゃんと「北海道」て言ってました。
……もしかして外国の方にとっては北海道と東京ってほんのすぐ隣だと思われてるんですかね??
「メッセージ」感想その1を6月にアップしてから間が空いてしまいましたが、一部を除いて公開もほぼ終了してるようですので、続きをアップしたいと思います。ネタバレもありますので、ご了承の上お読みいただければ幸いです。
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世界各地に出現した異星人(ヘプタポッド)に対し、中国人民解放軍のシャン上将は宣戦布告することを宣言します。アメリカでは女性言語学者ルイーズ・バンクス達が異星人とのコンタクトを続けてきましたが、戦争の危機を前に、アメリカも撤収を決めます。コンタクトを続けようとするルイーズに対し、CIAのハルパーン捜査官はコンタクトの継続を諦めることを強制してきます。
その頃ルイーズは、時間の概念がまったく異なり、過去も未来も同時に存在しているという世界観を持つヘプタポッドの言語を習得することにより、未来の光景が垣間見えるようになっていました。
何とか中国の開戦を阻止したいと苦悩するルイーズの心中に、未来の光景が現れます。
それは今から1年半後、ヘプタポッドの言語を研究した本の出版記念パーティのようでした。そこには中国や日本も含め、各国の国旗も掲揚されています。
そして出席者の一人として、中国人民解放軍のシャン上将がやってきます。
シャン上将はルイーズに語りかけます。「1年半前、あなたが私に電話をかけてきたことに驚かされた」。それによって私は攻撃回避を決断したのだ、と。
「でもあなたの電話番号を存じ上げませんわ」
するとシャン上将はほほ笑み、自分の携帯を取り出して電話番号を表示させます。「ほら、今知った」と。
電話番号を知った現在のルイーズは、ハルパーン捜査官の携帯電話を使ってシャン上将に電話しようとします。しかし、ルイーズはシャン上将に何と言ったのか? 何と言えば戦争の危機を回避できるのか?
必死で凝視する未来の光景の中で、シャン上将がルイーズの耳元にささやきます。あなたはこう言った。それは私の妻が死の間際に残した言葉と同じだったのだ。
そこまで見た現在のルイーズは、未来の光景で見た番号に電話をかけ、そして聞いた言葉を伝えます。
そこへなだれ込んでくるハルパーン捜査官。ルイーズが使った電話を取り上げ、彼女の努力もここまでか、となりますが……
間もなく - 中国が戦争回避を決断したことが伝えられます。そして通信回線を切断していた各国は再び回線をつなぎ、それぞれ各国がバラバラに探究していた情報が集まり、つながり始め、事態は良好な方向へ。
やがて……世界12ヶ所に出現していたヘプタポッドの宇宙船は、上昇を開始し、消えていきます。まるで地球人がまとまったことを見届けたかのように。
ヘプタポッドがルイーズに語ったことの一つに、彼らが地球にやってきた目的の一つは、3000年後には地球人の助けが必要になるから、というものがありました。だからこそ現代の地球人を助けるために「武器」(=ヘプタポッドの言語)を伝えたのでしょう。これにより地球人がまとまることができるように。
3000年後にはヘプタポッドとのいかなる再会が待っているのでしょうか。
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さて……上記のようにルイーズは未来の自分を見ることで戦争の危機を回避したわけですが、少々不思議なことがあります。未来のルイーズが現在の自分の延長線上の自分自身であるならば、未来の自分はすでにシャン上将の電話番号を知っているはずです。しかし未来の自分は知らず、教えてもらって初めて知ったように描かれていました。
とすれば……未来の自分が知らないことを現在の自分が知る、という「因果律(まず原因があって、それにより結果がある)の崩壊」が起こっているわけですよね。
未来の自分が知らないのではなく、知っているがもう一度確認した、みたいな描き方だったら因果律は崩壊しなかったのでしょうが……(例えば、未来のルイーズが「あれからも番号は変わっていませんか?」と問い、シャン上将はほほ笑んで「もちろん変わっていませんよ、ほら」と携帯を示す……私だったらそんなやり取りを描くだろうな)。
あるいは……ヘプタポッドにとって時間は直線的な流れではなく、過去も未来も同時に存在しているという世界観を有しています。その言語を学んだルイーズにとってもすでに、過去も未来も同時に存在しているようなものであり、原因→結果という因果律はすでに無意味なものになっている、ということなのかも知れませんね。
ルイーズに電話番号を教え、その時の言葉を伝えたシャン上将も、実はヘプタポッドの言葉を習得していて、自分が教える行為が過去の危機を救ったということを理解した上でルイーズに伝えたのかもしれません。「ほら、今知った」という微笑みは、そうしたことを示唆していたのかもしれませんね。
ところでパンフレットには、世界各地に出現したヘプタポッドの宇宙船のイラストが掲載されています。北海道に現れたという光景がこれ。

この地形からすると……これって函館じゃありませんか!

しかも函館市豊川町のあたりではないかと。こんな都市のど真ん中に、しかもこんな低空に出現したとは!!
そして、ラスト付近でヘプタポッドの宇宙船が消えていくシーンの一つがこちら。

※予告編より拝借しました。予告編では「正体不明の物体が世界各地に出現」というナレーションとともにこの場面が使われていましたが、映画ではヘプタポッドの宇宙船が消えていくシーンとして使われていました。
これは……東京ではありませんか!! 画面左手前に見える白っぽいビルはよく見ると裾広がりになっており、どう見ても新宿ビル群の一つ、損保ジャパン日本興亜本社ビルに見えます。函館とちゃうやん! 日本では北海道ではなく新宿上空に出現していたのか!? いえいえ、映画の中ではちゃんと「北海道」て言ってました。
……もしかして外国の方にとっては北海道と東京ってほんのすぐ隣だと思われてるんですかね??
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